(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0351OilMajors2015-2ndQtr.pdf
1. 五社の4-6月期業績比較(続き)
(2)利益 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-26.pdf参照)
ExxonMobilの期間利益は42億ドル、前年同期の2分の1であった。またShellも前年同期の25%減、40億ドルであり、Totalは前年同期とほぼ同じ30億ドルの利益を計上している。これに対してChevronは前年同期の57億ドルに対してほぼ10分の1の6億ドルにとどまっている。そしてBPは2010年のメキシコ湾原油流出事故に対して米国政府およびメキシコ湾岸5州に合計187億ドルの賠償金を支払うことで和解したことを受け、今期はマイナス58億ドルの大幅な損失を計上している。
前年同期の5社の利益はExxonMobilが利益額で88億ドルとトップであり、50億ドル台のShell、Chevron、30億ドル台のBP、Totalを大きく引き離していたが、今期はExxonMobilとShellが40億ドル前後で並び、Totalがこれに続き、Chevronは一桁の6億ドル、BPは大幅な損失を出している。
国際石油企業の利益構造は(BPの原油事故という特殊要因を除けば)これまでいずれも利益の大半を原油・天然ガスの生産(上流部門)で稼ぎ、精製、石油化学など(下流部門)の低収益を補うという構図であったが、昨年後半以降に原油価格が大幅に下落したため収益構造が様変わりしている。即ち上流部門の利益が急減する一方、精製、石油化学部門は原料の原油・天然ガス価格が急落したため利益の出る体質に変化したのである。
たとえばShellの原油・ガス生産部門と石油精製部門の利益比率を見ると(図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-30.pdf参照)、2013年までは上流部門の利益が8割を占め、下流部門の利益は2割に過ぎなかった。しかし昨年はこの比率が7割対3割に変わり、今年に入ってからは1-3月期が50%対50%と上流部門と下流部門の利益が同じ水準になっている。さらに今期(4-6月期)は上流部門と下流部門の比率は22%対78%と完全に逆転しているのである。
(3)売上高利益率 (図:http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-27.pdf参照)
売上高利益率はTotalが6.7%と最も高く、これにExxonMobil、Shellが各々5.7%、5.4%で続いている。Chevronは1.4%にとどまっており、BPはマイナス9.6%である。
(続く)
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