(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0372OilMajors2015.pdf
III. 2014年と2015年の5社業績比較 (続き)
2.損益
(1)総合損益
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-26.pdf 参照)
2015年の利益は2014年に比べ各社とも大幅に減少している。2015年に5社で最も利益が多かったのはExxonMobilでその額は162億ドルであった。しかしこれは同社の2014年の利益325億ドルから半減している。他の4社の利益はExxonMobilよりもさらに悪くTotalは前年の4割(128億ドル→51億ドル)、Chevronが4分の1(192億ドル→46億ドル)、Shellが7分の1(149億ドル→19億ドル)にとどまっており、BPの場合は前年度38億ドルの利益に対して今期は65億ドルの損失を計上している。
(2)上流部門と下流部門の損益比較
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-30.pdf 参照)
各社の利益を上流部門(生産)と下流部門(精製)に分けてみると2014年と2015年はさらに大きなコントラストを見せている。例えばExxonMobilの場合、2014年の上流部門利益は275億ドル、下流部門は30億ドルであったが、2015年は上流部門28億ドル、下流部門66億ドルである。上流部門の利益が10分の1に急減した一方、下流部門は倍増している。そして上流部門の利益と下流部門の利益が逆転している。この傾向はExxonMobil以外の他の4社も同様であり、特にBP、Total、Chevronの3社は上流部門の利益がマイナスに転じている。またいずれの企業も下流部門の利益が上流部門を上回っており、これまで上流部門の利益に依存していた5社は下流部門の稼ぎに頼っているのである。
(注) 最終損益額には石油化学部門その他の損益が合算されているなど各社によって異なるため、部門別の上流・下流部門の損益合計額とは一致しない
(続く)
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp