(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」でまとめてご覧いただけます。
http://mylibrary.maeda1.jp/0421BpGas2017.pdf
2017.9.7
前田 高行
(ロシアと日本がそれぞれ輸出入世界一!)
(5) 2016年の天然ガス貿易(パイプライン + LNG合計)
(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G06.pdf 参照)
2016年のパイプライン(以下P/L)とLNGを合わせた天然ガスの輸出(入)量は世界全体で1兆841億㎥であった。輸出量トップはロシアの1,830億㎥であり、内訳はP/Lによるものが1,690億㎥、LNGが140億㎥であった。世界の輸出全体に占める同国の割合は17%である。これに次ぐのがカタールの1,245億㎥であり、内訳はLNG輸出が1,044億㎥、P/L(ドルフィンP/L)はUAE向けの200億㎥である。第3位はノルウェーの1,161億㎥で、同国の場合は殆どがP/Lによる欧州各国向けの輸出である。上記3カ国が天然ガスの三大輸出国であり、3カ国の合計シェアは世界の39%に達する。その他の主な輸出国はカナダ、アルジェリア、オーストラリア、トルクメニスタンなどである。
一方輸入国としては日本が1,085億㎥と最も多く、次いでドイツの993億㎥が世界第2位である。日本は全量がLNG、ドイツは全量P/Lと両国の特色が分かれている。世界第3位の輸入国は中国(724億㎥)であり、第4位以下にイタリア(651億㎥)、トルコ(451億㎥)、メキシコ(443億㎥)、韓国(438億㎥)と続いている。なお米国は名目上の輸入量は849億㎥であるが、一方647億㎥を輸出している。これを差し引いたNETの輸入量は202億㎥となり、世界13位の輸入国となる。さらに米国は近年シェールガスの開発生産が急増、国内での自給率が高まっている(第3項消費量(5)「主要国の需給ギャップ」参照)。従って輸入量は引き続き減少し、いずれ天然ガスの純輸出国になるものと思われる。
輸入上位2カ国(日本、ドイツ)の世界全体に占める合計シェアは19%であり、輸出上位2カ国(ロシア及びカタール)のシェア28%に比べてかなり低い。輸出は少数の国に握られ、輸入は多くの国が群がっていると言えよう。
(続く)
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