石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (18)

2017-09-05 | BP統計

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」でまとめてご覧いただけます。

 http://mylibrary.maeda1.jp/0421BpGas2017.pdf

 

2017.9.5

前田 高行

 

(3) LNG貿易(続き)

(今も圧倒的な日本の輸入シェア!)

(3-3) 2007年~2016年の国別輸入量の推移

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G04.pdf 参照)

 LNG輸入の全体量は2007年の2,264億㎥から2016年には1.5倍の3,466億㎥に増加している。10年間を通じて国別輸入量が最も多いのは日本であり、2007年の888億㎥が2016年には1,085億㎥に増加している。この間2007年から2014年までは(2012年を除き)毎年一貫して増加しており、特に2010年、2011年の対前年伸び率は22.6%及び11.2%と2年連続で二桁の大幅な伸びを示している。これは日本において原発の運転停止のため火力発電用LNGの輸入が急増したことが主な要因である。

 

 しかし日本のLNG輸入量はその後伸び悩み2015年および2016年は2年連続して減少、特に2016年は対前年比8.1%と大きく減少、同年の輸入量は福島原発事故当時の2011年の水準に逆戻りしている。過去10年間における日本のLNG輸入が世界全体に占める割合は2008年の41%をピークに2010年には一旦31%に下がったが、その後2012年、2013年は37%に上昇、2015年、2016年は連続してシェアが低下し2016年のシェアは過去10年で最も低い31.3%となっている。

 

 日本に次いで輸入量が多いのは韓国であるが日本との差は大きい。同国の輸入量は2007年が344億㎥であり、2016年には439億㎥に増加しているが、それでも日本の輸入量の4割以下であり世界に占める割合は13%である。日本は近年輸入量が減少しているが当分の間世界一であり続けることは間違いない。

 

 LNGの輸入で近年大きな存在感を示しているのは中国である。2007年の同国のLNG輸入量は39億㎥にすぎず世界に占める割合も2%に満たなかったが、その後2010年には100億㎥、また2012年には200億㎥を超え、2016年のLNG輸入量は343億㎥に達している。この結果、世界のLNG輸入に占める割合も10年前の1.7%から2016年には9.9%に高まっている。

 

 この他の主なLNG輸入国はインド、台湾、スペイン、英国であるが、上位5か国は全てアジア諸国であり、特にそのうち4カ国(日本、韓国、中国、台湾)は極東アジアの工業国である。日本、韓国及び台湾は国内にガス資源が殆ど無く、またパイプラインで近隣国から輸入する手段も無いため天然ガスをLNGに依存しているのである。なお2000年には10カ国にとどまっていたLNGの輸入国の数は現在30カ国以上に増加している。LNG受入設備を建設中の国もあり、今後LNG輸入国はさらに多様化するであろう。

 

(続く)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

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