石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:天然ガス篇 (22)

2017-09-12 | BP統計

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」でまとめてご覧いただけます。

 http://mylibrary.maeda1.jp/0421BpGas2017.pdf

 

2017.9.12

前田 高行

 

6.カタールと日本の輸出入の動向(2006~2016年)(続き)

(減少に転じた日本のLNG輸入!)

(6-2)日本の場合

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/2-4-G08.pdf参照)

 日本は世界一の天然ガス輸入国である。日本の輸入は全てLNGであり従って世界一のLNG輸入国でもある。日本のLNG輸入量は2006年の819億㎥から2008年には921億㎥に達した後、2009年、2010年と横ばい状態であった。しかし2011年には一挙に1千億㎥を突破、2012年には1,188億㎥に達した。これは再三触れてきたように原発停止による火力発電用燃料として天然ガスの需要が急増したためである。2011年及び2012年のLNG輸入の対前年増加率は14.4%、11.1%と二桁台の大幅な伸びであった。しかしその後は輸入の伸びは頭打ちとなり、2015年は対前年比で1.1%減少し、さらに2016年は前年比8.1%と大幅に減少、輸入量は1,085億㎥と5年前の2011年の水準にとどまった。

 

 2006年から2016年までの日本のLNG輸入を相手国別に見ると、2006年はインドネシアからの輸入が186億㎥と最も多く、これに次いでオーストラリアが157億㎥、マレーシアが156億㎥であり、第4位以下にカタール(99億㎥)、ブルネイ(87億㎥)が続いていた。しかしインドネシアからの輸入は2008年の188億㎥をピークに2012年には100億㎥を下回り、2016年の輸入量は87億㎥にとどまっている。インドネシアは国内の天然ガス消費の増加により輸出余力が無くなっており数年先には純輸入国に転落するものと思われる。またマレーシアも同様の事情であり日本の輸入はここ数年200億㎥前後で頭打ち状態にある。

 

 これら両国に代わる輸入先がカタール、オーストラリア及びロシアである。特にカタールは原発事故以後のLNGの緊急輸入先として大きな存在感を示した。即ちカタールからのLNG輸入量は2006年から2010年まで100億㎥前後で推移していたが、2011年には1.5倍の158億㎥に急増、さらに2012年には200億㎥の大台を超え前年比35%増の213億㎥に達し、2015年まではこの水準を維持していた。しかし2016年の同国からの輸入量は158億㎥で前年比22%の大幅な減少となっている。同年の日本の総輸入量は対前年比8.1%減であり、カタールからの輸入量はこれを大幅に上回っている。次に述べるようにオーストラリアからの輸入が急増しており、LNGの輸入源は2016年を境に大きく変化しつつあることを示している。

 

 オーストラリアの2016年輸入量は292億㎥であり、5年連続して輸入国のトップである。オーストラリアでは日本企業が関与したLNGプロジェクトが次々と稼働を開始しつつあり、今後安定した供給先となることが期待されている。ロシアは2009年に極東LNGプロジェクトが操業を開始し、同年37億㎥が日本に輸入された。その後輸入量は順調に増え2013年には116億㎥に達したが、その後は伸び悩み2016年の輸入量は95億㎥にとどまりオーストラリア、カタール、マレーシアに次ぐ第4位の輸入国となっている。なお上記各国の他、UAE、エクアトール・ギニア、オマーン、ブルネイなど約20カ国からスポット物を含めたLNGが輸入されており調達先が多様化している。

 

(貿易量完)

 

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        前田 高行         〒183-0027東京都府中市本町2-31-13-601

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