石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計2017年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇 (5)

2017-09-27 | BP統計

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0422BpOilGas2017.pdf

 

2017.9.27

前田 高行

 

 

2.世界の石油と天然ガスの生産量

(中東、欧州・ユーラシア、北米が20%台で拮抗!)

(1)2016年の石油と天然ガスの地域別合計生産量

(図http://bpdatabase.maeda1.jp/3-2-G01.pdf 参照)

 2016年の世界の石油生産量は日量9,215万バレル(以下B/D)であり、これに対して天然ガスの生産量は年間3兆5,516億立方メートル(以下㎥)であった。天然ガスの生産量を石油に換算すると6,120万B/Dとなり、従って石油と天然ガスを合わせた1日当りの生産量は1億5,335万B/Dとなる。両者の比率は石油60%、天然ガス40%である。

 

 生産量を地域別に見ると、中東が4,278万B/Dと最も多く、北米がこれに次ぐ3,561万B/Dで、第3位に欧州・ユーラシア(3,495万B/D)が続いている。中東が世界全体に占める割合は28%で、北米、欧州・ユーラシアは23%である。これら3地域で世界の生産量の4分の3を占めている。各地域の石油と天然ガスの比率を比較すると、中東は石油3,179万B/D、天然ガス6,378億㎥(石油換算:1,099万B/D)と、石油の生産量が74%を占めて圧倒的に多く、北米は石油生産量が1,927万B/D、天然ガス生産量が9,484億㎥(石油換算:1,634万B/D)と石油が天然ガスを上回っている。そして欧州・ユーラシアは石油生産量1,772万B/D、天然ガス生産量1兆億㎥(石油換算:1,724万B/D)であり石油と天然ガスはほぼ同量である。

 

 その他アジア・大洋州、アフリカ及び中南米の3地域の生産量は上記3地域の半分もしくはそれ以下である。石油と天然ガスの比率はアジア・大洋州(石油換算合計生産量:1,800万B/D)は天然ガスがわずかに多いが、アフリカ(同1,148万B/D)と中南米(同1,052万B/D)は中東と同じく石油生産が全体の7割以上を占めており天然ガスの比率は小さい。

 

 前回の埋蔵量で触れたとおり世界の石油と天然ガスの埋蔵量の比率は59%対41%(石油埋蔵量1兆7,067億バレル、天然ガス埋蔵量1兆1,174億バレル)である。このことから欧州・ユーラシア、北米及びアジア・大洋州では埋蔵量に見合った石油と天然ガスが生産されているのに対し、その他の3地域(中東、アフリカ及び中南米)では今後さらに天然ガスの開発生産に拍車がかかるものと考えられる。

 

(続く)

 

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