(英語版)
(アラビア語版)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(33)
第13章 サウジアラビアの秘かな動き(3)銀のスプーンをくわえた王子(1/3)
「息子よ。よく考えてみろ。イランの核兵器開発は我々にとっても重大な脅威である。何よりもペルシャ人でシーア派の坊主共は米国やヨーロッパ諸国或いはイスラエルよりも我々にとってもっと身近な敵なのだ。」
「その敵をイスラエルがやっつけると言うのだ。イスラエルのやりたいようにやらせておけ。それで我々の頭痛の種が一つ減る訳だ。ユダヤ人とペルシャ人のいがみ合いで、我々アラブ人が労せずして漁夫の利を得られるという寸法だ。」
受話器から国防相の薄ら笑いが漏れてきた。小さい頃から聞き慣れたその薄ら笑いをトルキ王子は今でも好きになれない。父親は自分の今の年ごろには既に国防相になっていた。そして彼は権謀術策の限りを尽くして今日までその地位を守ってきた。そして彼は権力の階段を一段昇る毎に今日のような薄ら笑いを見せたのである。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
(アラビア語版)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(33)
第13章 サウジアラビアの秘かな動き(3)銀のスプーンをくわえた王子(1/3)
「息子よ。よく考えてみろ。イランの核兵器開発は我々にとっても重大な脅威である。何よりもペルシャ人でシーア派の坊主共は米国やヨーロッパ諸国或いはイスラエルよりも我々にとってもっと身近な敵なのだ。」
「その敵をイスラエルがやっつけると言うのだ。イスラエルのやりたいようにやらせておけ。それで我々の頭痛の種が一つ減る訳だ。ユダヤ人とペルシャ人のいがみ合いで、我々アラブ人が労せずして漁夫の利を得られるという寸法だ。」
受話器から国防相の薄ら笑いが漏れてきた。小さい頃から聞き慣れたその薄ら笑いをトルキ王子は今でも好きになれない。父親は自分の今の年ごろには既に国防相になっていた。そして彼は権謀術策の限りを尽くして今日までその地位を守ってきた。そして彼は権力の階段を一段昇る毎に今日のような薄ら笑いを見せたのである。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)