4. 経済・金融連携
(西高東低経済の逆転を狙う中国!)
4-6. 一帯一路構想
一帯一路構想(One Belt One Road Initiative, OBOR)は2013年に習近平主席(当時総書記)が提案した中国と中央アジア・中東・ヨーロッパ・アフリカにかけての広域経済圏でインフラストラクチャー整備、貿易促進、資金の往来を促進する計画を意味している。正式名称は「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード」で一帯一路はその略称である。
一帯(One Belt)は中国からユーラシア大陸を経てヨーロッパにつながる陸路の「シルクロード経済ベルト」を、また一路(One Road)は中国沿岸部から東南アジア、南アジア、アラビア半島、アフリカ東岸を結ぶ海路の「21世紀海上シルクロード」を指している。
一帯一路構想は厳密な意味での連合あるいは同盟ではないが、中国と協力文書に調印した国は120カ国以上に達している。MENAではイラン、トルコ、エジプトなどが調印しており、世界第2位の経済大国中国の経済協力に期待している。G7では唯一イタリアが調印しているが、米国は貿易戦争、先端技術競争などで中国に対する警戒姿勢を強めており、OBOR構想に参加していない。
経済的意図を前面に打ち出した一帯一路構想は当初、海陸の中継国に好意的に受け止められた。また西ヨーロッパ諸国は中国との貿易投資促進に期待を抱いた。これにより初期段階で一帯一路構想はユーラシアからアフリカにかけて多数の国が参加したのであった。
しかしインフラプロジェクトが動き出すと、融資返済が滞るいわゆる「債務の罠」問題が発生、専門家からは中国の新植民地主義であるとの批判も出ている。また貿易面でも中国の一方的な輸出増のため相手国で貿易収支の赤字が拡大するという結果を招き、互恵(win-win)を目論んでいたイタリアなどは離脱すると言われている。
(続く)
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