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http://mylibrary.maeda1.jp/0574ImfWeoApr2023.pdf
3. 2023年GDP成長率見直しの推移
IMFの世界経済見通しは毎年4月、10月に全世界200弱の国について成長率の見直しが行われ、さらに1月及び7月には主要な国と経済圏の成長率が発表されている。主要な国と経済圏については3カ月ごとに検証されていることになる。
最近の特徴はコロナ禍、ウクライナ紛争、エネルギー価格の高騰など国際経済を取り巻く環境の不透明感が増していることである。このためIMFの成長率見通しも3カ月ごとに大きく変動すると言う特徴が見られる。
ここでは直近5回(2022年4月、7月、10月、2023年1月及び今回4月)の成長率見直しの推移を比較する。
(直近5回で日本は今回が最も低く、中国は最も高い!)
3-1 全世界及び日本、米国、中国
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03a.pdf 参照)
直近5回のIMF経済見通しにおける2023年の世界のGDP成長率は2022年4月見通しでは3.6%であったが、その後7月には2.9%、10月は2.7%と下方修正されたが、今年1月には本年の成長率は2.9%に見直され、4月もほぼ同じ水準に維持されている。
米国は2.3%→1.0%→1.0%→1.0%→1.4%→1.6%と変化している。2022年7月には大きく下方修正されたが、今年は年初から2回続けて上方修正されている。中国の場合は、5.1%→4.6%→4.4%→5.2%→5.2%であり、昨年4月から2回連続して成長率が下落したものの、今年は一転して1月、4月見通しでは5%台の成長率が想定されており、世界に先駆けて景気回復に向かうものと見込まれている。
日本の2023年成長率の過去1年間の数値は2.3%→1.7%→1.6%→1.8%→1.3%と見直されている。昨年4月に成長率が1%台に下方修正された後、現在まで低い成長率が据え置かれている。エネルギー価格の急騰は日本経済のアキレス腱であり、このことが早期の成長率回復の障害になっているようである。
(OPEC+の盟主サウジとロシアに極端な明暗、インドは6%の高度成長!)
3-1 ロシアとサウジアラビアとインド
(図http://menadabase.maeda1.jp/2-B-2-03b.pdf 参照)
サウジアラビアとロシアは米国と並ぶ三大産油国であり、両国はOPEC+(プラス)の盟主として最近の石油価格の高値安定を主導している。昨年4月時点では2023年の成長率見通しはサウジアラビア3.6%、ロシア▲2.3%であり、同年2月のウクライナ紛争ぼっ発が両国の明暗を分けた形であった。
紛争により石油価格が急騰したことは輸出国のサウジアラビアに大きな追い風となった一方、紛争当事者のロシアは経済制裁の影響を受け経済に深刻な懸念が生まれた。2022年10月までの両国の成長率予測はほぼ同じ水準で維持されてきた。しかし今年1月はロシアの成長率が0.3%とプラスに転じた一方、サウジアラビアの成長率は2.6%に下方修正されている。今回4月には両国ともに成長が加速されサウジアラビア3.1%、ロシア0.7%に見直されている。
米国を中心とする先進国による経済制裁が続いているにも関わらずロシアの成長率が上方修正されていることは、インド、中国をはじめとするグローバルサウスの国々が欧米先進国と共同歩調を取らず、或いはこれを奇貨としてロシアから安価なエネルギーを輸入し続けている現状を反映したものとみられる。
アジアの経済大国であるインドの2023年のGDP成長率予測は、6.9%(2022年4月時点)→6.1
%(7月)→6.1%(10月)→6.1%(本年1月)→5.9%(4月時点)である。昨年7月に下方修正され今回に至っているが、それでもインドの今年の成長率は世界平均を大きく上回る見通しである。
以上
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