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(目次)
Part I:「イスラエル、イラン核施設を空爆す」(10)
第三章 パイロットのもう一つの敵 (1/3)
空を自由に飛び回りたいと言う人間の本能的欲求を現実のものにするのがパイロットである。パイロットが昔から男たちの憧れの職業であったことは洋の東西を問わない。特に戦闘機のパイロットは祖国防衛と言う愛国心と、敵との戦いと言う闘争本能が加わり一層花がある。日本の零戦、ドイツのメッサーシュミットとそのパイロット達は敗戦後もなお国民の郷愁をかきたてる英雄である。戦勝国の米国が作る戦争映画でも日本あるいはドイツの戦闘機パイロットが悪役にされた映画は無い。地上戦で敵国の将軍や兵隊が冷酷極まりない悪人として描かれているのとは対照的である。
しかし21世紀は国家間の紛争が局地的なものとなり、代わって中東では宗教色の強いテロ活動、即ちイスラム・テロ活動が頻発した。テロ活動は多くの場合、人口が密集した都市部で発生する。テロ組織も一般市民を装って日常活動を行う。しかも活動拠点が常に移動する。戦闘機は敵国の首都、空港、軍需工場など目標の所在が明確な施設を迅速に爆撃することが得意である。しかし頻繁に移動するテロの軍事拠点或いは都市に潜むテロ組織幹部に対する急襲などは治安部隊など地上軍の出番である。空軍が出動するとしてもアパッチ型ヘリコプターによるロケット砲攻撃がせいぜいであり、スピードが速いだけで全く小回りが利かない戦闘機の出る幕はない。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
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