(英語版)
(アラビア語版)
Part II:「エスニック・クレンザー(民族浄化剤)」
55. 悪魔の発明(3)
彼はワシントンの国立衛生研究所に留学し、インフルエンザウィルスの研究に手を染めた。
インフルエンザが流行するとそれに対抗するワクチンによって流行は下火になる。しかしウィルスは進化し、ある日ワクチンに対する抵抗力を持った新型ウィルスに変身し、何年後かに再び猛威をふるう。それに対して医学は新たなワクチンを開発する。ワクチンのなかった時代はウィルスも進化することはなかった。いくら広範に蔓延してもいつか人体そのものの抵抗力によってウィルスは次第に繁殖力を弱め潜伏期間と呼ばれる長い眠りにつく。
『ドクター・ジルゴ』はこのように外界の変化に対応して常に進化し続けるウィルスの秘密を遺伝子レベルで解き明かそうとした。解明の結果をユダヤ人の遺伝子操作に応用すればユダヤ人を地上最強の生物に変化させることができると信じたのである。
ただユダヤ人と言っても種々雑多である。ヨーロッパ系のアシュケナジム。イスラム圏出身のミズラフィム。イベリア半島出身のセファルディム。そして自分たちロシア系。さらには失われた十支族の子孫と信じられているエチオピア系の黒い肌のユダヤ人などなど研究対象となる人種は種々雑多である。
何処の出身のユダヤ人を選ぶかでも名声と富を求める『ドクター・ジルゴ』の打算は働く。彼はアシュケナジムを研究の対象に選んだ。アシュケナジムはユダヤ人のエリート集団である。しかし同じユダヤ人の中でもアシュケナジムは他の種族に比べて人口の増加率が低い。アシュケナジムを増加させる遺伝子レベルの方法が発見できれば政府のエリートたちに高く評価されるはずである。彼はそう考えて研究を重ねた。
(続く)
荒葉一也
(From an ordinary citizen in the cloud)
前節まで:http://ocininitiative.maeda1.jp/EastOfNakbaJapanese.html
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます