石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

群を抜く米国の軍事費と武器輸出額:世界及び中東主要国の軍事費と武器輸出入

2021-06-22 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0535WorldRank7.pdf

 

(世界ランクシリーズ その7 2020年版)

 

国連などの国際機関あるいは世界の著名な研究機関により各国の経済・社会に関するランク付け調査が行われている。これらの調査について日米中など世界の主要国及びトルコ、エジプト、イランなど中東の主要国のランクを取り上げて解説するのが「世界ランクシリーズ」である。

 

 第7回の世界ランクは、スウェーデンの「ストックホルム国際平和研究所(Stockholm International Peace Research Institute, 略称SIPRI)」のホームページに発表されたデータベースの中からSIPRI Military Expenditure Database及びSIPRI Arms Transfers Databaseを取り上げ、2020年の世界と中東主要国の軍事費、一人当たり支出、GDPに占める比率及び政府歳出に占める割合を比較する。また2011年から2020年までの10年間にわたる各国の武器輸出入合計額についても分析する。

*SIPRIホームページ:http://www.sipri.org/databases 

 

(圧倒的な米国の軍事費、2位中国の3倍、日本の16倍!)

1.軍事費支出の比較 (図http://rank.maeda1.jp/7-G01.pdf 参照)

 世界で軍事費が最も多いのは米国で2020年の支出額は7,782億ドルである。同年の世界全体の軍事費は1兆9,300億ドルであり、同国だけで世界の4割を占めている。これに次ぐのは中国の2,523億ドルであるが、米国の3分の1程度にとどまっている。それでも中国の軍事費が世界に占める割合は13%であり、米国と中国二カ国を合わせると世界の軍事費の5割を超える。

 

これら2カ国に続くのがインド(729億ドル)であり、世界全体の4%を占めている。4位から10位までは、ロシア(617億ドル)、英国(592億ドル)、サウジアラビア(575億ドル)、ドイツ(528億ドル)、フランス(527億ドル)、日本(491億ドル)及び韓国(457億ドル)の各国である。因みに日本の軍事費を他国と比べると、米国は日本の16倍、中国も日本の5倍である。また韓国は日本より7%少ない規模である。

 

中東の主要国を見ると、サウジアラビアが575億ドル(世界6位)、イスラエル及びトルコは各々217億ドル(世界15位)、177億ドル(同16位)であり、イランは世界18位(158億ドル)である。エジプトは中東で人口が最も多く、軍が国家権力を握っているが、経済規模が小さいため、軍事費は45億ドルにとどまっている。これはサウジアラビアの10分の1以下、イスラエルの5分の1であり、世界45位の規模である。

 

(注)サウジアラビア以外の湾岸産油国について:

SIPRIの統計ではUAEの軍事費は2014年以降明示されていないが、2014年以前の毎年の軍事費はいずれもイスラエル、トルコ、イランを上回っており、世界10位前後に位置している。また、後述する通り2011年から2020年までの10年間の武器輸入額はエジプトに次ぐ世界6位の規模である。また世界有数の天然ガス輸出国であるカタールも過去10年間の武器輸入額は世界14位である。これらのことから、UAEやカタールの軍事費は世界の10~20位程度にあることは間違いないと考えられる。

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 石油と中東のニュース(6月21日) | トップ | 石油と中東のニュース(6月24日) »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事