(注)本レポート(上、中、下)は「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0341OilMajors2015-1stQtr.pdf
2.五社の前年同期との業績比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)
(1) ExxonMobil
ExxonMobilの2015年1-3月期の売上高は676億ドルであり、前年同期の1,063億ドルに比べ36%の減収であった。利益も同様に大幅に落ち込み前年同期を46%下回る49億ドルにとどまった。利益の落ち込み幅が売上よりも大きかったため、同社の売上高利益率は7.3%となり前年同期(8.6%)を下回った。
原油の生産量は前年同期を6%上回る228万B/Dであったが、天然ガスは前年同期を若干下回る日産118億立方フィート(以下cfd)であった。石油と天然ガスを合計した生産量は石油換算で425万B/Dとなり、前年同期の415万B/Dを2.3%上回っている。また1-3月期の設備投資は77億ドルであり、前年同期の84億ドルに比べ8.7%減少している。
(2) Shell
Shellの2015年1-3月期の売上高は688億ドルであり、前年同期の1,120億ドルに比べ39%の減収であった。一方、利益は前年同期を2%下回る44億ドルを確保している。この結果同社の売上高利益率は前年同期(4.0%)を上回り6.4%であった。
原油の生産量は前年同期を4%上回る154万B/Dであったが、天然ガスは前年同期を8%下回る94億cfdであった。石油と天然ガスを合計した生産量は石油換算で317万B/Dとなり、前年同期の325万B/Dを2.4%下回っている。また1-3月期の設備投資は68億ドルであり、前年同期の106億ドルに比べ大幅に減少している。
(3) BP
BPの2015年1-3月期の売上高は542億ドルであり、前年同期の917億ドルに比べ41%の大幅な減収であった。利益も同様に大きく落ち込み前年同期比26%減の26億ドルにとどまった。落ち込み幅が売上よりも利益の方が小さかったため、同社の売上高利益率は4.8%となり前年同期(3.8%)を上回っている。
原油の生産量は前年同期を16%上回る126万B/Dであったが、天然ガスは前年同期とほぼ同じ61億cfdであった。石油と天然ガスを合計した生産量は石油換算で231万B/Dとなり、前年同期の213万B/Dを8.3%上回っている。また1-3月期の設備投資は46億ドルであり、前年同期の59億ドルに比べ21%減少している。
(4) Total
Totalの2015年1-3月期の売上高は423億ドルであり、前年同期の607億ドルに比べ30%の減収であった。利益もほぼ同様に落ち込み前年同期を27%下回る25億ドルにとどまった。この結果売上高利益率は5.9%となった。
原油の生産量は前年同期を20%上回る124万B/Dであったが、天然ガスは前年同期横ばいの63億cfdであった。石油と天然ガスを合計した生産量は石油換算で240万B/Dとなり、前年同期の218万B/Dを10%上回っている。また1-3月期の設備投資は58億ドルであり、前年同期の40億ドルに比べ45%増加している。
(5) Chevron
Chevronの2015年1-3月期の売上高は346億ドルであり、前年同期の533億ドルに比べ35%の減収であった。利益は売り上げ以上に落ち込み前年同期を43%下回る26億ドルにとどまった。この結果、同社の売上高利益率は7.4%となり前年同期(8.5%)を下回った。
原油の生産量は前年同期を5%上回る180万B/Dであったが、天然ガスは前年同期横ばいの53億cfdであった。石油と天然ガスを合計した生産量は石油換算で268万B/Dとなり、前年同期の259万B/Dを若干上回っている。また1-3月期の設備投資は86億ドルであり、前年同期の94億ドルに比べ9%減少している。
以上
本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp
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(米国のGDP総額は全世界の4分の1!)
3.2014年の各国の名目GDP(予測)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-09.pdf 参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-02.pdf参照)
IMFでは今年の世界の名目GDP(at Current Price)総額を75兆ドルと推定している。地域別ではEUが16兆ドル、全体の22%を占めている。またASEAN5か国は2.1兆ドル(全体の2.8%)、MENA地域は2.9兆ドル(同3.9%)である。
国別では米国が世界トップの18兆ドルで全世界に占める割合は24%、同国一国だけで世界のGDPの4分の1を生み出している。米国に次ぐGDP大国は中国の11兆ドルであり世界全体の15%を占めている。この2か国が世界でも突出している。第3位は日本(4.2兆ドル)であるが、米国の4分の1あるいは中国の3分の1にとどまっている。EUの経済大国ドイツのGDPは3.4兆ドルであり、EU全体の5分の1を占めている。その他の主な国を見るとインドは2.3兆ドル、韓国1.4兆ドル、ロシア1.2兆ドルなどである。
MENA17カ国(エジプト、シリアを除く)の中で2015年の名目GDPが最も大きい国はトルコの7,530億ドルであり、サウジアラビアが6,490億ドルで続いている。この2カ国がMENAの合計GDPに占める比率はそれぞれ21%と18%であり、両国はMENA諸国の中では突出している。第3位はイランの3,930億ドル、第4位UAE(3,640億ドル)はいずれもトルコ或いはサウジアラビアの半分にとどまっている。
5位以下11位まではイスラエル(3,070億ドル)、カタール(1,970億ドル)、アルジェリア(1,870億ドル)、イラク(1,740億ドル)、クウェイト(1,340億ドル)、モロッコ(1,020億ドル)であり、以上11カ国が年間GDP1千億ドルを超える国々である。UAE、カタール、クウェイトなど人口の少ない産油国がイラン、イラクなど地域の大国とそん色のないGDPを誇っている。
GDPが1千億ドル未満の国は、オマーン(630億ドル)、レバノン(550億ドル)、チュニジア(450億ドル)、イエメン(430億ドル)、ヨルダン(380億ドル)、リビア(340億ドル)、バハレーン(310億ドル)である。MENAでGDPが最も小さいヨルダン、リビア、バハレーンはサウジアラビア或いはトルコの20分の1以下である。
(続く)
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1.五社の1-3月期業績比較 (続き)
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)
(4)原油・ガス生産量
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-28.pdf 参照)
今年1-3月の原油生産量はExxonMobilが平均日産量228万バレル(以下B/D)で5社の中では最も多い。その他の4社はChevron 180万B/D、Shell 154万B/D、BP 126万B/D、Total 124万B/Dで、BPおよびTotalはExxonMobilの半分強にとどまっている。ExxonMobilは世界各地で万遍なく原油生産をおこなっており他者を圧倒している。米国内を地盤とするChevronはシェールオイルの増産でShell、BP等をしのぐ生産量を上げている。これに対し生産拠点がアフリカなど一部地域に偏在しているTotalは生産量が5社の中で最も低い。
天然ガスの生産量もExxonMobilが最も多く日産118億立方フィート(以下cfd)であり、これに次ぐのがShellの94億cfdである。残る3社は上位2社よりかなり少なく、Total63億cfd、BP61億cfd、Chevron53億cfdであり、ChevronはExxonMobilの2分の1以下である。
天然ガスを石油に換算した原油・天然ガスの合計生産量(B/D)ではExxonMobilは425万B/DでShellがこれに次いで317万B/Dである。Chevron、Total、BPの3社は200万B/D台であり、それぞれ268万B/D、240万B/Dおよび231万B/Dであった。
(5) 設備投資
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-29.pdf 参照)
2015年1-3月期の各社の設備投資額はChevronが最も多い86億ドルであり、ExxonMobilが77億ドルでこれに続いている。第3位のShellの投資額は68億ドルである。またTotalは58億ドル、BPは最も少ない46億ドルにとどまっている。
(続く)
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http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0341OilMajors2015-1stQtr.pdf
スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益、売上高利益率、石油・天然ガス合計生産量及び設備投資の五項目について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の前年同期との増減を検証する。
決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。
ExxonMobil:
http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-49-billion-first-quarter-2015
Shell:
http://www.shell.com/global/aboutshell/investor/financial-information/quarterlyresults/archive/2015/q1-2015.html
BP:
http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/first-quarter-2015-results.html
Total:http://www.total.com/en/media/news/press-releases/first-quarter-2015-results
Chevron:
http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/05012015_chevronreportsfirstquarternetincomeof26billion.news
なお2008年から2014年までの通年の業績比較はレポート「五大国際石油企業2014年度業績速報シリーズ」を参照されたい。
http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0337OilMajors2014.pdf
1.五社の1-3月期業績比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-D-4-22.pdf参照)
五社を横並びで比較すると売上高ではShellがトップ、利益、生産量の2部門でExxonMobilがトップである。また利益率および設備投資はChevronがトップである。ExxonMobilは売上、利益率および設備投資額ではNo.2であり安定した決算は横綱の貫禄がある。またChevronは売上が五社中で最も少ないが利益、利益率等は他社とそん色がなく堅実性が光っている。これに対してBPは売上高こそShell、ExxonMobilに次いで3番目に多いものの、利益率が低く、石油・ガスの生産量および設備投資額が五社の中では最も少ないなど他の四社に比較してかなり見劣りのする決算業績となっている。
(1) 売上高
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-25.pdf参照)
2015年1-3月の売上高は5社ともに前年同期に比べ3~4割の大幅な減少であった。これは言うまでもなく原油価格が暴落したためである。因みにShellでは昨年1-3月に97ドルであった原油の平均価格が今年1-3月は46ドルになったとしている。
この結果、Shellの売上高は688億ドル(前期比-39%)、ExxonMobil676億ドル(同-36%)、BP 542億ドル(同-41%)、Total 423億ドル(同-30%)、Chevron 346億ドル(同-35%)であった。
(2) 利益
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-26.pdf参照)
ExxonMobilの期間利益は49億ドル、前年同期の約2分の1であった。またChevronも前年同期の45億ドルから26億ドルにほぼ半減している。BPおよびTotalはともに前年同期比27%減のそれぞれ26億ドルおよび25億ドルと並んでいる。これに対してShellは2%減の44億ドルにとどまっている。
前期はExxonMobilが利益額で他の4社を大きく引き離していたが、今期はExxonMobilとShellが40億ドル台で並び、BP、Total、Chevronの3社が25億ドル前後で横並びとなっている。国際石油企業はいずれも利益の大半を上流部門で稼いでいるが、今期は原油価格が低迷したため利益も伸び悩んだようである。そのような中でShellが前年同期並みの利益を確保したことは、同社が上流部門の落ち込みを石油製品や石油化学製品あるいは天然ガスの販売でカバーしたものと考えられる。
(3) 売上高利益率
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-D-4-24c.pdf参照)
売上高利益率はChevronが7.4%と最も高く、これにExxonMobilが7.3%で続いている。その他3社はShellが6.4%、Total5.9%、BP4.8%であり、5社の間に際立った格差は見られない。
(続く)
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http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0342ImfWeoApr2015.pdf
(6か月前より下方修正された今年と来年の成長率!)
2.前回(2014年10月)と今回(2015年4月)の比較
(表http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/1-B-2-08.pdf参照)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maeda1/2-B-2-01.pdf参照)
(1) 世界および主要地域・国
上述のとおり今回(WEO2015Apr)の成長率の見通しは今年(2015年)が3.5%であり、来年(2016年)は3.8%である。これに対して前回(WEO2014Oct)の見通しでは2015年が3.8%、2016年は4.0%であり今回成長率はいずれも下方修正されている。つまり2015年から2016年にかけて成長が高まるとの見通しに変わりはないが、加速の度合いが鈍っている。IMFは世界経済の回復が遅れると予測しているようである。
国別にみると明暗が分かれ、日本の場合今年、来年ともに成長率は上方修正されている(今年:0.8%→1.0%、来年:0.8%→1.2%)。同様にインドも今年は6.4%→7.5%に、来年も6.5%→7.5%と1ポイント以上高くなっている。これに対して米国は前回見通し通りで変化はないが、中国および韓国の場合は今年、来年ともに0.5ポイント前後下方修正されている。特にロシアは前回予測では今年、来年ともにわずかではあるがプラス成長とされていたものが、今回は今年マイナス3.8%、来年もマイナス1.1%と2年連続のマイナス成長である。
(2)MENA諸国
MENA地域の成長率は2015年が前回の3.8%から2.7%に、また2016年も4.5%から3.7%へと大幅に下方修正されている。MENA諸国の中で成長率が前回に比べて上方修正されたのはイスラエルとエジプトの2か国だけであり、その他の国々はすべて横ばいか下方修正されている。産油国についてもたとえばサウジアラビアは今年1.5ポイント、来年も1.7ポイント下がっており、UAEは両年ともに1.3ポイント下方修正されている。特に今年の修正幅が大きいのはリビアおよびイエメンであり、リビアは前回の15.0%から今回4.6%に、イエメンはおなじく4.6%からマイナス2.2%に見直しされている。両国とも昨年後半から内戦状態であることが下方修正の理由であろう。なお「イスラム国」を含めた反政府組織が跋扈し無政府状態に陥っているシリアは前回も今回もIMFはデータを発表していない。
(続く)
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4/27 経済産業省 我が国企業がアブダビ陸上油田の権益を獲得しました http://www.meti.go.jp/press/2015/04/20150427003/20150427003.html
4/27 JOGMEC 国際石油開発帝石(株)のアラブ首長国連邦アブダビ首長国陸上における石油の開発・生産事業の資産買収出資採択について http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_10_000208.html
4/27 国際石油開発帝石 アラブ首長国連邦 アブダビ首長国陸上ADCO鉱区の権益取得について http://www.inpex.co.jp/news/pdf/2015/20150427.pdf
4/28 経済産業省 米国エネルギー省との間でCCS分野に係る協力文書に署名しました http://www.meti.go.jp/press/2015/04/20150428004/20150428004.html
4/28 BP BP first quarter 2015 results http://www.bp.com/en/global/corporate/press/press-releases/first-quarter-2015-results.html
4/28 Total First quarter 2015 results http://www.total.com/en/media/news/press-releases/first-quarter-2015-results
4/30 ExxonMobil ExxonMobil Earns $4.9 Billion in First Quarter of 2015 http://news.exxonmobil.com/press-release/exxonmobil-earns-49-billion-first-quarter-2015
4/30 Shell First quarter 2015 results - April 30, 2015 http://www.shell.com/global/aboutshell/investor/financial-information/quarterlyresults/archive/2015/q1-2015.html
5/1 経済産業省 米国エネルギー省との間でクリーンエネルギー分野の研究開発協力に係る実施取極(Implementing Arrangement: IA)に署名しました http://www.meti.go.jp/press/2015/05/20150501004/20150501004.html
5/1 出光興産/東京ガス/九州電力 新会社「株式会社千葉袖ケ浦エナジー」の設立について http://www.idemitsu.co.jp/company/news/2015/150501.pdf
5/1 Chevron Chevron Reports First Quarter Net Income of $2.6 Billion http://www.chevron.com/chevron/pressreleases/article/05012015_chevronreportsfirstquarternetincomeof26billion.news