石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

トンネルの先が見えてきた国際石油企業とサウジアラムコ:2021年1-3月期決算速報 (1)

2021-05-11 | 海外・国内石油企業の業績

 スーパーメジャーと呼ばれる五大国際石油企業(ExxonMobil、Shell、BP、Total及びChevron)とサウジアラビア国営石油企業アラムコ社(Aramco)の1-3月期決算が相次いで発表された。ここでは売上高、利益(総合、上流部門、下流部門)、売上高利益率、設備投資、キャッシュフローおよび石油・天然ガス生産量について各社の業績を横並びで比較するとともに各社の四半期決算の推移を検証する。

 

 決算の詳細は以下の各社のホームページを参照されたい。

ExxonMobil:

https://corporate.exxonmobil.com/News/Newsroom/News-releases/2021/0430_ExxonMobil-earns-2_7-billion-in-first-quarter-2021

Shell:

https://www.shell.com/investors/results-and-reporting/quarterly-results/2021/q1-2021.html

BP:

https://www.bp.com/en/global/corporate/news-and-insights/press-releases/first-quarter-2021-results.html

Total:

https://www.total.com/media/news/press-releases/first-quarter-2021-results

Chevron:

https://www.chevron.com/stories/chevron-announces-first-quarter-2021-results

Aramco:

https://www.aramco.com/en/news-media/news/2021/aramco-announces-first-quarter-2021-results

 

 なお過去の四半期業績及び2010年から2020年までの通年の業績比較は下記レポートを参照されたい。

http://mylibrary.maeda1.jp/SuperMajors.html

http://mylibrary.maeda1.jp/oil.html

 

 

(続く)

 

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

        前田 高行         〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601

                               Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642

                               E-mail; maedat@r6.dion.ne.jp

 

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石油と中東のニュース(5月10日)

2021-05-10 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(石油関連ニュース)

・米国の石油パイプライン網、サイバー攻撃で運転停止

(中東関連ニュース)

・エルサレム:モスクのパレスチナ人礼拝妨害に各国から非難の声

・米海軍がアラビア湾で大量の武器捕獲。イランからイエメンフーシ派向け

・パキスタン大統領、サウジ公式訪問。投資促進など各種協定締結

・ドバイEmirates航空、旅客機16機を貨物輸送に転換

・中東、インドでプライベートジェット航空会社活況。富裕層の利用急増

 

 

 

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LiveDoG物語 (24)

2021-05-10 | その他

(英語版)

(アラビア語版)

(日英亜三国語版)

 

前線ではイスラーム主義者と民族主義者が手を組んで共産主義に激しく抵抗した。

アフマドはオサマが創設したイスラーム軍事組織アル・カイダに入隊した。

彼が目にしたミサイル、ヘリ、機関銃などすべての兵器は異教徒米国のMade in USAであった。

アフマドは求道者(タリバン)からたくましい聖戦士(ジハーディスト)に変身していった。

 

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石油と中東のニュース(5月8日)

2021-05-08 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(コロナウィルス関連ニュース)

・海上橋コーズウェーの再開でバハレーンの経済効果29億ドル

(石油関連ニュース)

(中東関連ニュース)

・エジプトとトルコの協議、リビア撤兵等具体的成果ないまま終了

・カタール財務相、汚職容疑で逮捕

・トルコ、7年ぶりにイラクMosulの領事館再開

・ドバイ、国際金融センター機能拡大の法案制定。サウジの誘致策に対抗

・双日、ドバイ電力・水企業の株式20%取得。  *

*双日プレスリリース:

アラブ首長国連邦にて天然ガス火力発電・淡水化事業へ参画

 

 

 

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今週の各社プレスリリースから(5/2-5/8)

2021-05-08 | 今週のエネルギー関連新聞発表

5/4 Saudi Aramco

Aramco announces first quarter 2021 results

https://www.aramco.com/en/news-media/news/2021/aramco-announces-first-quarter-2021-results

 

5/5 Total

PAPUA NEW GUINEA: TOTAL AND THE GOVERNMENT OF PAPUA NEW GUINEA CONFIRM THE REMOBILIZATION AND THE PLANNING OF THE PAPUA LNG PROJECT

https://www.total.com/media/news/press-releases/papua-new-guinea-total-and-government-papua-new-guinea-confirm

 

5/5 Total

SOUTH KOREA: DAESAN COMPLEX TO DEVELOP ITS POLYMER CAPACITY FOR DURABLE APPLICATIONS

https://www.total.com/media/news/press-releases/south-korea-daesan-complex-develop-its-polymer-capacity-durable

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(ニュース解説)ヨルダン王家に何が起こったのか?(中)  

2021-05-07 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0532JordanHashemite2021.pdf

 

(英語版)

(アラビア語版)

3.二度にわたる皇太子の交代

 1999年、癌治療のため米国の病院に入院していたフセイン国王(当時)は余命いくばくもないことを悟り驚くべき行動に出た。ベッドに伏せたまま特別機で帰国した国王は、実弟のハッサン皇太子に因果を含めて退位させ、38歳になった長男のアブダッラーを皇太子に指名したのである。フセイン国王はとんぼ返りで米国に戻りまもなく死去した。

 

 新国王に即位したアブダッラー二世のもとで皇太子になったのは異母弟のハムザ王子であった。当時新国王にはパレスチナ人のラニア王妃との間に長男フセインがいたが、5歳になったばかりだったためハムザ王子を皇太子にしたと言う訳である。アブダッラー二世の時代に入っても9.11テロ事件(2001)、イラク戦争(2003)と中東には事件が続発したが、異母兄弟の国王と皇太子は二人で協力して小国ヨルダンに襲いかかる荒波をかいくぐってきた。

 

 ところが2004年に再び皇太子交代問題が発生する。国王がハムザに替えて長男フセインを皇太子に指名すると宣言したのである。フセイン前国王の時と全く同じことの繰り返しである。異なるのは皇太子が前回は同母兄弟であり、今回は異母兄弟と言うことである。外見上は皇太子の交代は平穏に行われ不穏な動きは見られなかった。と言うより吹けば飛ぶような小国ヨルダンにとって王室の内輪もめに時間を浪費する余裕などなかった、と言う方が正しい。国王も皇太子もそのことを肌身で分かっていたため、ハムザは皇太子の地位を譲り、アブダッラー二世は長子直系相続をルール化することで将来のお家争いの種を摘み取ったと言えよう。

 

 但し一般的に言えば権力の承継問題は本人同士(今回の場合は兄弟間)が互いに納得すればそれで良し、と言うほど簡単な問題ではない。権力には甘い汁がつきものであり、それを求めて取り巻き連中が必ずうごめく。取り巻き連中にとっては自分のボスが地位を失うことは即死活問題であり、ボスを説得あるいは焚きつけて何とか特権を保とうとする。今回の場合、ハムザ王子の取り巻きがクーデタで国王交代を企図したと考えられないことはない。さらにはハムザの妻、Basmah妃が陰謀に加担している疑いが無いでもない。Basmah妃はヨルダン初の女性パイロットである。彼女はカナダ生まれで父親はヨルダン人ビジネスマン、夫ハムザ王子の母親のNoor元王妃はシリア系米国人である。

 

 ここでアブダッラー現国王の血縁関係を思い出してほしい。国王の母親は純粋の英国女性であり、妻のRania妃はパレスチナ難民の医師を父親にクウェイトで生まれた。彼女は大学卒業後ヨルダンでジャーナリストとして働いていた時に当時皇太子であったアブダッラーに見初められ皇太子妃(後に王妃)になったシンデレラガールである。ゴシップ週刊誌風に見れば、Basmah妃にとって義兄の国王は白人との混血であり、その妻Raniaはパレスチナ難民の子供である。対して自分の夫ハムザは母親がシリア人とはいえアラブ系であることは間違いなく、また彼女自身は生粋のヨルダン人である。預言者ムハンマドにつながる由緒あるハーシム家の後継者としていずれが相応しいか?Basmah妃がどう考えたかは分らない。因みにBasmahは事件発覚後亡命先を求めて某国と接触した、と伝えられている[1]。複雑な血縁関係が今回のお家騒動の根幹にあると邪推できるのである。

 

これが事件のゴシップ風解説であり、お家騒動となれば国家の場合も、財閥の場合も洋の東西を問わず変わりはない。ハーシム家のお家騒動の原因究明あるいは事件の処理方法には謎の部分が多い。

 

(続く)

 

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

[1] Prince Hamzeh, inner clique’s attempts to undermine security, stability foiled — deputy PM

http://jordantimes.com/news/local/prince-hamzeh-inner-cliques-attempts-undermine-security-stability-foiled-%E2%80%94-deputy-pm

2021/4/5 The Jordan Times

 

 

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石油と中東のニュース(5月6日)

2021-05-06 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(コロナウィルス関連ニュース)

・サウジ、昨年に続き海外からのマッカ巡礼禁止を検討

(石油関連ニュース)

・コロナ禍終息期待で原油価格70ドル目前。Brent $69.57, WTI $66.30

・サウジアラムコ1-3月決算、217億ドルの利益

(中東関連ニュース)

・イスラエル、ネタニヤフ首相組閣に失敗。野党Lapid党首が着手

・シリア大統領選挙、現職アサドのほか2名が出馬

・イエメン和平交渉破綻:国連特使談

・エジプトとトルコが関係修復の協議。東地中海海底資源、リビア問題等。 *

*参考レポート「鬼の居ぬ間に:中東の政治的空白に暗躍する国々」(2020.12月) & 「敵の敵は味方かそれとも別の敵か? 複雑な中東の合従連衡と離合集散 」(2020年10月)& 「天然ガスに国際政治が絡み大荒れの東地中海」(2020年2月)

・G7外相会合、イランに拘束外国人釈放を要求

・バイデン米大統領、アブダビ皇太子とイラン問題で電話会談

・武田薬品、サウジ医薬品市場に血友病用など新薬投入

 

 

 

 

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LiveDoG物語 (23)

2021-05-05 | その他

 

(英語版)

(アラビア語版)

(日英亜三国語版)

 

マドラサを出たアフマドは久しぶりに兄アミンと会った。

兄は共産主義に幻滅し民族主義者に変節していた。

兄は言った。彼らは絶対平等を唱えながらアフガン人を見下している。

アフマドは思った。普遍的なアラーの教えは偏狭な民族主義に勝ると。

 

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石油と中東のニュース(5月4日)

2021-05-04 | 今日のニュース

(参考)原油価格チャート:https://www.dailyfx.com/crude-oil

(コロナウィルス関連ニュース)

・サウジ、ワクチン接種者の入国受け入れ

・GCC各国、ラマダン明け休暇のコロナ規制で硬軟いろいろ

(石油関連ニュース)

・原油価格下落 Brent $66.61, WTI $63.48。インドのコロナ第二波で需要減少

・イラク、西Qurna油田のExxonMobil持ち分を買い取り

(中東関連ニュース)

・シリア憲法裁判所、アサド大統領の立候補を承認

・ロケット砲3発がイラク空軍基地の米系企業施設に着弾、負傷者なし

・トルコ、メーデーデモで200人検挙

・トルコ、経済・政治不安で頭脳流出。欧米出国申請者2019年の6倍に

・サウジ在住外国人、コロナ禍の往来自由求め複数パスポート取得

・サウジ保険業界競争激化でAmanaとEnaya2社が合併

 

 

 

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(ニュース解説)ヨルダン王家に何が起こったのか?(上)  

2021-05-04 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0532JordanHashemite2021.pdf

 

(英語版)

(アラビア語版)

 

1.事件の幕開け

 4月3日(土)、ヨルダンに激震が走った。現国王の異母弟ハムザ王子の宮廷に軍の幹部が訪れ、反逆罪の容疑で王子に自宅軟禁を命じたのである。BBC放送が王子の投稿ビデオを放映し、世界中に知れ渡るところとなった[1]。ハムザ王子は現国王即位後の1999年から2004年まで皇太子を務め、国民にも人気のある王族である。

 

 関係者として重要人物2名を含む18人が逮捕取り調べを受けた。4月4日には副首相が記者会見を行い事件の全容を説明したが[2]、事件の背後関係、動機等については謎に包まれたままである。

 

 ヨルダンの正式国名は「ヨルダン・ハシミテ王国」であり、国王が預言者ムハンマドの直系と言う由緒ある家系である。第一次大戦後の1921年に「トランス・ヨルダン王国」としてオスマン・トルコから独立し、今年で建国百周年を迎える[3]

 

(注)「ハシミテ家々系図(預言者ムハンマド~現代まで)」参照。

 

ヨルダンそのものは東西南北をイラク、イスラエル、サウジアラビア及びシリアに囲まれ、流動する中東政治に振り回されている小国である。しかも同国は資源に乏しく経済が脆弱な上に多数のパレスチナ難民がいるなど同国は国内外に多くの問題を抱え常に綱渡りを強いられてきた。その荒波を乗り切って今日まで支配体制を維持してきたのがハシミテ王家であるが、王家の内実はかなり複雑である。今回の事件を理解するため、まずはフセイン前国王を中心とする王室の血縁関係を見ておく必要があろう。

 

2.フセイン前国王をめぐる王室の血縁関係

 アブダッラー二世現国王の父親であるフセイン前国王は、1952年に第三代国王に即位、1999年に病没するまで50年近くにわたり国王の地位にあった。彼の在任中は第二次中東戦争(スエズ戦争)など3度の中東戦争をはじめ、イラン・イラク戦争、湾岸戦争など中東に戦火が絶えなかった。フセイン国王はその激変する時代を巧みに泳ぎ渡り、小国ヨルダンの存在価値を世界に知らしめた。

 

 フセインは生涯に4度結婚している。2番目の王妃は英国人のトニー・ガードナーであり、1962年に現国王のアブダッラーが生まれている。アブダッラーの誕生後、トニー・ガードナーはアラビア風にMuna妃と呼ばれるようになったが、後に離婚した。フセインが即位した1952年時点では男子がいなかったため、実弟のTalalが皇太子になった。彼は今回の事件でアブダッラー二世とハムザ王子の仲を取り持つ重要な役割を果たしている。フセインの4番目の妻Lisa Halaby(通称Noor王妃)との間に1970年に生まれたのがハムザ王子である。Noor王妃は米国ワシントン生まれのシリア・レバノン系米国人である。これでわかる通り、フセインの二人の息子アブダッラー二世(現国王)とハムザの母親は共に外国籍の女性であり、特にアブダッラーは父親(国王)がアラブ人、母親が白人のハーフである。預言者ムハンマドの血統を引くハシミテ家で白人とのハーフの国王は初めてのことなのである。

 

 フセイン国王-ハッサン皇太子の体制は1999年まで続くが、この時次期国王問題で大きな事件が発生した。

 

(続く)

 

本件に関するコメント、ご意見をお聞かせください。

荒葉一也

Arehakazuya1@gmail.com

 

[1] Jordan prince was asked to stop destabilizing ‘activities’

https://www.thepeninsulaqatar.com/article/03/04/2021/Jordan-prince-was-asked-to-stop-destabilizing-%E2%80%98activities%E2%80%99

2021/4/3 The Peninsula

[2] Jordan says prince liaised with ‘foreign parties’ over plot to destabilize country

https://www.arabnews.com/node/1837401/middle-east

2021/4/4 Arab News

[3]ヨルダン・ハシミテ家の構図」(MENAの王族シリーズ)(2003年6月)参照。

 

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