ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

Monitored telematics

2006年12月30日 | ITS
アメリカのITS、テレマティクス市場調査会社であるTRG(Telematics Reserch Group Incorporated)は、2010年までに3000万台の車に通信機器が装備される、というリリースを発表した。
(リンク先はpdfファイルです。あしからず。)

ここで、「Monitored Telematics」という言い方がされている。
要するに車から自動的にアップリンクすることでテレマティクス運営会社、もしくはカーメーカーが車のコンディションや緊急事態を監視するテレマティクスのことで、それ自体は新しい概念ではない。

特に緊急通報、エアバッグ展開の自動通報、盗難車追跡などのアプリケーションが既に実用化されている。
が、この記事にあるように今現在は決して広く普及しているとはいえない。

TRGという団体の性格上、テレマティクスに関しては極めて寛容な記事になっているが、それにしてもあまりに楽観的だ。

ポイントだけかいつまんで説明すると、以下の通り。(かなり意訳です)

-----ここから
いままで過小評価されてきた「Monitored Telematics」だが、北米市場だけで2010年には3000万台の車でテレマティクスが使えるようになるだろう。
GM、ベンツ、BMWが積極展開することで、来年販売される車の1/4にはテレマティクスが装備される。市場のトレンドは大きくテレマティクス標準装備の方向に振れはじめたのだ。

その兆候は最近のカーメーカーの発表からも伺える。車の通信に関する新規事業者も続々と参入している。欧州ではテレマティクスは安全装備として5年以内に法制化されるし、アジア等でも状況は同じだ。

テレマティクスが市場に現れてから10年たつが、初期の段階での見通しはパッとせず、コストがかかるとか複雑だとかいってギブアップしたカーメーカーもある。
数年前にクアルコムと袂を分かちテレマティクス(Wingcast)から手を引いたフォードも、他のカーメーカー同様に将来のテレマティクスにむけて準備を進めている。

テレマティクス懐疑論はもはや時代遅れだ。すでに車に通信が導入されることについては規定路線となっている。ただし、アプリケーションに関してはまだ議論がある。安全やセキュリティにお金を払うのは高級車ユーザーだけじゃないか、という議論もある一方、遠隔診断、ナビ、エンタメにチャンスを見出そうとするメーカーもある。
--------ここまで

そもそも現在までいまいちパッとしないテレマティクスが、どんなブレイクスルーがあって2010年に3000万台に普及するのかがさっぱりわからない。

おそらく車載ハードが安くなってきたのでテレマティクスの接続が可能なコンポを搭載する車両が増える、ということであろう。
しかしお金を払って常時接続するかどうかはユーザーの選択だ。
そして、これが一番重要な話でかつTRGも認めている通り、それはアプリケーション次第なのだ。

テレマティクスが登場して10年。
未だにその一番肝心な部分で「The debate over application remains」なんていっているようじゃ、私は明るい未来はないと思うんだけどね。