議長も副議長も
反対の申し入れを受けたくないとのことで
森井聡議会事務局長に手渡しました。
長い文書ですが、
反対理由を紹介します。
※鈴木和彦静岡市議会議長様
議会運営委員会委員長 福地健様 2021年9月2日
9・11月議会での代表質問制度の試行に反対する申し入れ
市議会会派 緑の党 松谷 清
本日、鈴木議長から8月25日の各会派代表者会議において「大方の賛同を得た」として、「9・11月議会での代表質問制度の試行」案が議会運営委員会において議題となり、条件付きも含め全会派の賛成で決定されました。非交渉会派ではありますが緑の党として各会派代表者会議において反対表明をしてきましたので、改めて本日の決定に反対を申し入れるものです。
まず、第一に現状についてです。
議会事務局調査による20政令市議会の資料によれば、年4回の「代表質問」制度を取り入れている議会は、札幌市、相模原市、岡山市、浜松市の4自治体で、「代表質疑」制度という表現の自治体が仙台市、京都市、北九州市の3自治体、代表質問と代表質疑の両方を持つ自治体やそうした表現の不明の自治体もあります。静岡市と同じ2月のみ自治体は、新潟市、横浜市、名古屋市、福岡市、熊本市(代表質疑という表現)の5自治体です。20政令市で年4回の議会質問において代表質問制度が全自治体で導入されているわけではない現状をどうとらえるか、慎重な議論が必要です。あらためて正確な実態調査を要望しておきたい。
第二に、導入のメリット、デメリットについてです。
7月9日の各会派代表者会議において、導入のメリットとして議長私案として以下の5点を示しました。1,会派内の論点整理・他会派との違いが明確になる、2、会派の一体感、3,会派の政策資源として当局の政策実行の動機付け、4,代表質問と個人質問の組み合わせで質問内容を高める、5、会派間、会派内の質問重複の回避。こうした内容について各会派代表者会議においても本日の議会運営委員会においても議会改革全体との関係においての議論はなされませんでした。さらに問題は、次に述べる二元代表制度におけるデメリットについて議論もなされなかった点です。
第三に、会派制度と二元代表制度の関係についてです。
地方自治体は、首長と議会議員をともに住民が直接選挙で選ぶ二元代表制を取り、国では、国会が指名する内閣総理大臣が内閣を組織し、国会に対して責任を負う、という議院内閣制をとっています。議院内閣制において、内閣を支持する、しないにより与野党関係が生まれ会派制度が機能します。二元代表制において、ともに住民を代表する首長と議会が相互の抑制と均衡によってある種の緊張関係を保ちながら、議会が首長と対等の機関として、その地方自治体の運営の基本的な方針を決定(議決)し、その執行を監視し、また政策テーマごとに議員間フォーラムを形成していくのが、二元代表制の本来の在り方であるといえます。世界の民主主義制度においてイギリスの議院内閣制度、アメリカの二元代表制度として比較議論されています。日本においては、国は議院内閣制、地方は二元代表制として定着しています。地方議会における与野党という疑似的な関係が生まれてはいますが、地方議会の原則は、二元代表制であることを改めて再確認する必要がありますし、こうした制度上における会派制度の持つ矛盾について全く議論の対象となっていないことは残念な事態です。
第四に、会派制度と地方自治法についてです。
会派制度は、都市部において政党活動が活発化する中から議会運営において政党を媒介に地方議会において増加してきました。一方で、国会議員だけに特権的に支給されてきた政務活動費(当初、政務調査費)は地方議員にも支給すべきとの声が広がり、国会議員の「立法事務費交付法」と同様な法的規定と透明な使途を担保するために地方自治法100条の14項において「会派または議員」への支給という形で会派制度を位置づけてきた経過があります。こうした中で代表質問制度が静岡市議会にも取り入れられ1年に4回の議会の中で2月議会だけに限定して運用されて来ました。二元代表制において首長と議会の対等であること、会派制度による議会運営は限定的であることは、6月、9月、11月議会において議員質問は、締め切り前の届け出は抽選制、その後は届け出順番制という形で担保されてきました。
こうした経緯を踏まえるならば、このような代表質問制度の「試行」は急がなければならない議会運営の改革と考えることはできず、現段階において反対であることを表明するものです。
最後に付け加えておくならば、田辺市長がこの二元代表制を理解しているならば、少数会派であれ大会派であれ、議員質問についてすべてにおいて答弁する責務があることを鈴木議長から議会の総意として、田辺市長に提言することを求めておきたいと考えます。