イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

山菜採り 3回目

2021年04月23日 | Weblog
緊急事態宣言が25日に三度発出される。そういえば「発出」という言葉もコロナウイルスがらみで初めて聞く言葉であったがもう慣れてしまった。

ちょうど1年前の今頃が初めての発出であったけれども、そのときは世の中が本当に静まり返っていた。電車の中も和歌山駅に到着するころには車両の中に僕がひとりということもあった。僕が勤めている会社もほとんどのスペースが休業していてそれに伴ってかどうか、週休4日というようなこともあり、悪夢のようなコンビニ店員生活もコロナのおかかげで終えることができたというのは今となっては微かな記憶となってしまった。
2回目のときというのは緊急事態であったのかどうかも怪しいくらい僕の周りは普通であった。会社も普通に営業していて勤務も普通であった。(ちょっとだけ休日増は継続されていたが・・)

さて、3回目の緊急事態はどうだろうか。感染者数からすると断トツに多く、医療現場も相当疲弊しているそうだ。オリンピックを前にして急いで抑え込む必要もあるだろう。ヨシムラ知事の先日のニュースの中のインタビューではヒャッカテンとてーまぱーくの人出を抑えなければならないと、僕の仕事場を名指しで最重要ターゲットのひとつのような表現をしていた。

今度の緊急事態宣言でどれだけ休みが増えるのかな?せめて週1日は増えてほしいな、などと、会社の業績がどうなるのかというようなことにまったく無関心の僕が思うのもおかしいが、そのニュースの中の、難波のヒャッカテンの前での街頭インタビューでは、「休業してもまったく生活には困らない。」とか、「暇つぶしでしか利用しないので・・」という言葉が流れていた。薄々は自分自身もそうは思っていたけれども、テレビでそんな意見を聞いてしまうとなんだかやっぱり少しは虚しくなってくる。
“ひとの役に立つ”というのがひととしての最善の生き方であるというのは資本主義の世界であろうと社会主義の世界であろうと仏教徒であろうとキリスト教徒であろうと基本的な考えだ。最近、「野生の呼び声」という映画を観たけれども、犬でさえ人間の役に立つことに喜びを感じていた。

ひとの役に立つということはひとが生きるというプリミティブな部分に対して役に立つということなのだろうけれども、そういう意味ではヒャッカテンというものもテンボウダイというものも何の役にも立たない、でも、それを言うならトセンヤもノリアイセンもツリグヤも生きるためには何の役にも立たないということになる。ノミヤもそういった部類なのかもしれない。食べることは生きることの基本中の基本であるが生命を維持するためのエネルギーを供給するのはノミヤである必要はない。
ひとの心の安寧という意味では少しはひとの役に立っているのかもしれないのがこの文章のカタカナで書いてみた仕事たちだと考えるのだけれども時代が様々な困難に直面し始めると役に立たない順番にやり玉に挙げられていく。それの筆頭がヒャッカテンとてーまぱーくだというのだから世間からはまったくもって必要とされていないということにもなるのかもしれない。
しかし、そんな世間からまったく必要とされていない会社の中でさらに不要だと思われている自分の人生を愛することは容易ではない・・・。というのが今の僕の実態だ。
そういったわけなのかどうか、今の職場はそれにふさわしいくらいに労働環境が悪い。3Kというわけではないのだが、今時社員ひとりに1台のパソコンが支給されていない。
不要だと思われている僕なんかには当然専用で使わせてもらえるパソコンがない。仕方がないので自宅に置いているデスクトップパソコンのバックアップ用のノートPCを持って行って仕事をしているのだが、天は我を見放していない。フリーWⅰFⅰの電波が漏れてくる事務所でパソコンを開くと自宅で使っている環境とまったく同じ環境を再現することができる。
メールも見ることができるしフェイスブックも見ることができる。
やってやろうと思えばブログも書くことができる。写真のデータはワンドライブに入っているのでフォルダにアクセスできてしまうのだ。

これはいいことなのだろうか、それとも後に災いをもたらす罠なのだろうか・・。
それはわからないけれどもそんなことは放っておいて今日は3度目の山菜採りだ。

ひまじんさんに問い合わせたところ、先週に比べると採りに入っている人がいてそこそこ採っているみたいだということであったので期待をして行ってみたが、こんなに長く与太話を書いているというのは本命のワラビがすこぶる厳しかったからだ・・。

今日も午前5時過ぎに生石山に到着。この時間にはすでに東の空が明かるくなってきているのだが、山際のオレンジ色から上空の藍色までのグラデーションが美しい。そして太陽が顔を見せる時の一瞬のオレンジ色もきれいだ。海でも山でも同じで、この時間帯の空は早起きをして眺める価値は間違いなくある。今日のキャンパーはそれをしっかり眺めていただろうか・・。

 

前回から1週間経っているので今回は北の斜面からスタートしてみた。
去年の4月24日の山菜採りの記録を見てみると、この日の日のワラビはまだまだ小さく、南の斜面の一部ですこし大きなワラビを採ったとなっている。今年は去年に比べて気温はかなり高く推移しているので今が採り頃と思えるのだがワラビについては去年れ以下だ。第2駐車場の前は先週でも大きなワラビが採れたので回ってみると、ここもまったく採れなかった。あるにはあるのだがすべて盗られたあとばかりだ。ひまじんさんの情報から想像すると、人はかなり来ているが採れる場所が少ないのでこの場所にみんな集まってきて根こそぎ盗っていったという感じだろうか。
その他の山菜はどうであったかというと、コシアブラについて見てみると、こっちは完全に去年よりも成長は早い。去年の山頂のコシアブラは採れるほどの大きさではなかったので去年との気温の差と同じような推移をしていると見える。



ゼンマイも大きくなってしまっているものがいつもよりも多く見られるような気がする。そうかと思うと前回の王家の谷ではまったく見つけることができなかったので生育にはものすごいばらつきがあるのかもしれない。
ヤマウドはどうだろうか、去年撮った画像と今年のヤマウドの画像を見比べてみるとほぼ同じように見える。だから気温差の影響はほとんどなかったような感じだ。



フキも去年と同じように見える。

ということは、ヤマウドは今の時期、ほとんど地面の上に芽を出していないのでおそらく気温よりも地温に影響を受けるのでそれほどの違いが見られず、ワラビやゼンマイを除く山菜は気温の推移通りといえる。
だから、ワラビとゼンマイがおかしいということになる。
気温意外に原因はどこにあるのだろうかと例年との違いを考えてゆくと、ひとつは山焼きをここ数年やっていないということだ。おそらくもう、3年はやっていないのではないだろうかということだ。ススキを焼いた灰は栄養素になる。それを3年もやっていないとなると地面が栄養不足に陥っている可能性がある。ワラビの芽は成長が著しく早いので他の植物よりも大量の栄養素が必要であるというのもうなずける。
しかし、この灰というのは様々な役に立つ。植物の栄養になるのもしかりだが、いったい誰が山菜のあく抜きに使えることを見つけたのだろうか。「さわらびの萌え出る春に・・」と読まれたのは奈良時代のことだからもっと前から人は灰で灰汁抜きをして山菜を食べていたのだから驚きだ。ちなみに食器洗いにも使えるらしい。



そして、今年はところどころススキを刈ってそのまま倒された状態になっているところが多いというのが去年と異なる。山焼きの準備だけやっていたということだろうか。
もうひとつはこの1週間は雨が少なかったということ。しかし、去年も直近はそんなに雨は降っていなかったようなのでこれは関係がなさそうだ。

ということは、やはり地面の栄養が足らないということに帰結をするのだろうか。そして、ススキが刈られていると風がそのまま通るので実は去年よりもワラビの体感温度は低かったりしたのかもしれない。例年ならけっこうススキの間で見つかるのも多かったように思う。
結論は、「山の手入れ」というというところに落ち着くのかもしれない。

しかし、今日の山菜採りは疲れた。
採れないと歩く距離が増えるということだろうが、それに加えて、一気に長い距離を歩くということも加わる。
ワラビがところどころに生えているとそれを摘みながら歩くので止まっては摘みまた少し歩くので一気に体力を使わない。ところが、ここに生えていないとなると次のめぼしい場所へと移動しなければならなくなる。
高原とはいえそこそこ起伏はあるので登りとなるとつらい。元来の高血圧のせいか、ときたま頭がクラクラするし太股の筋肉が言うことを聞かなくなる。10メートル登っては膝に手を置いて肩で息をするという有様だ。
コシアブラのポイントへはイバラのブッシュを踏み分けて入っていくので足は傷だらけだ。
ひまじんさんの奥さんが淹れてくれたコーヒーでやっと一息つけたというのが今日の山菜採りであった。

駐車場へ戻ると、和歌山市内から自ら車を運転してやってきたという御年88歳の老人のコンビが矍鑠として身支度を解いていた。あまりの元気さに感心している70代半ばのひまじんさんにはまだまだ若いね~おっしゃり、57歳の僕には、若いので馬力があるね~。というが、その言葉にタジタジとなってしまう。
30年後、僕はこの場所に立っている自信はない。おそらくはもっと高いところから山菜採りをしているひとを恨めしそうに眺めているに違いないと思うのである・・・。
コメント
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