外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

トルコのインターネットカフェ

2011-05-03 18:44:43 | トルコ
写真は私のいきつけでないネットカフェ



「トルコは急速に近代化するかたわら、独自の文化を守り続け、西洋文化と折衷させて独自の形で発展させた。」と、「トルコの国際化」で書いたが、トルコのインターネットカフェにその現象を垣間見ることができる。


うちの近所(イェニカプ地区)にはアフリカ系の移民が多いせいか、コールセンター(国際電話が安くかけられるお店)やインターネット屋が軒を連ねている。これらのインターネット屋は、中心地に比べて安いのが利点だが、日本語の読み書きが出来ないことが多いのが難である。幸いなことに、うちのアパートの最寄りのインターネットカフェは、日本語の読み書きOKだし、値段もまあ安めである。台数も多くて、設備も新しいし、カフェカウンターで働いている女の子もアジア人っぽい顔立ちで、しとやかで感じがよくて私好みである。いったい何人なんだろう。トゥルクメニスタン?タタール?
家にネット環境がないため、ここにはしょっちゅう通っており、特に3月11日の大地震以降、そうとうお金を落としているが、一回コーヒーをサービスしてもらった程度で、特に値引きしてもらったことはない。まあいいけどさ。

お店に入ると、店員が空いてる席に案内してくれるのだが、大抵女性の隣の席に連れて行かれる。トルコ長距離バスの席の割り振りにおける「女性の隣には女性、男性の隣には男性」の原則が、ここでも守られているのである。たしかに男性にはタバコを吸う人が多いので、あまり隣に座りたくないが、女性客はというと、スカイプをやって大声で喋る人が多いので、これまた敬遠したいところであり、なるべく一人席に座るようにしている。

ネットに熱中していると、店員が「チャイはいらんかね」と注文を聞きに回ってくる。私はたまにしか頼まないが、あのチューリップ型のグラスに入ったチャイを飲みながらネットをやるのも、トルコならではの味わいがあってよいものである。周りを見渡すと、みんなチャイやコーラやアイラン(塩味のドリンクヨーグルト)を飲み、トーストやらサンドイッチやらナッツ類やらを盛大に食べちらかしている。特に男性は飲食する率が高い。お店にとっては、ネット代よりも、こちらの収入のほうが大きいのでは。

お店の番台にはトルコ名物コロンヤ(アルコール度80%くらいのレモン香料入りの液体)の大瓶が用意されている。飲食したあとは、やっぱりコロンヤだね!観察していると、男性はだいたいコロンヤを使っていく。両手にたっぷりふりかけてこすり合わし、その手で顔を撫でまわし、幸せそうな吐息を吐いている。女性はあんまりコロンヤを好まないようだが、なぜなんだろう。そんな私も使わないが。

このブログもいま前述のインターネットカフェで更新している。
インターネットをやりながら、トルコ伝統文化に触れることができるなんで、なんて素晴らしいことかしら、うちにネット環境がなくてホントに良かった!と思ったことは一度もないが、どうせしょっちゅう行くのなら、楽しむにしくはなしですね。日本のネットカフェも個室のお座敷タイプのところがあったりして、伝統文化をしっかり反映させていて、非常に興味深い。帰国したらぜひ行かなくちゃ。
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トルコの国際化

2011-05-03 18:37:51 | トルコ


トルコという国は色々な点で日本に似ていると思う。
例えば家の中で靴を脱ぐところや、お店で働く人たちの接客態度が丁寧なところ。真面目に働くことを美徳するところや、人生論を語るおじさんたちが多いところ、などなど。黒海沿岸地方を旅したとき、雨が多いせいか緑が豊かで、日本の田舎を思わせるなつかしい風景が広がっていた。

しかし一番似ていると私が思うのは、どちらの国も「近代化しているのに国際化していない」点である。「国際化しているが近代化していない」アラブ諸国と対照的といえよう。

トルコは(少なくとも西半分は)いつのまにこんなに近代化して、お金持ちになったのだろう。
私が初めてトルコを訪れた十数年前は、もっとビンボウな感じの国だった。どの建物も古びて煤けていたし、路上には物売りの子供たちがみちあふれていた。トルコ人の友達によると、8年前に今のエルドーアン首相が政権を握ってから、トルコは急速に豊かになったそうである。大規模な設備投資のお陰で街並みが見違えるように新しく綺麗になったし、メトロやトラムなどの交通手段も発展した。今年6月12日に総選挙があるが、エルドーアンの政党の選挙公約の一つは「2023年までに(トルコ共和国建国100年目の年)トルコを世界で10位以内のお金持ちの国にする!」である。

急激な経済成長や、欧米のライフスタイルの流入にとまどいながらも、トルコ人はトルコ固有の伝統文化をかたくなに守り続け、西洋文化と折衷させて、独自の形で発展させた。この点が日本の近代化のプロセスと重なっている。例えば、トルコの都市間移動の主要な足は相変わらずバスであるが、長距離バスターミナルは空港みたいに近代化したぴかぴかの建物に変身している。「和洋折衷」を連想させるでしょ。

このように見事に近代化を遂げたトルコだが、国際化のほうはさっぱり進まなかったようだ。
まず外国語を話せる人の数がものすごく少ない。トルコ語学校の受付の人さえトルコ語しかしゃべってくれないんですもの。大都会イスタンブルは、観光客の数もはんぱじゃないし、いろんな国からやってきた移民も大勢住んでいるが、そのわりに外国語の新聞・雑誌を売っている店はめったに見かけない。衛星放送もあまり普及していないし、トルコのテレビや新聞の内容はと言えば、国内ニュースばかりで、国際ニュースが少ない。外国料理店の数もまだまだ少ない。安くて美味しいアラブ食堂とかあったら、毎日通うのに・・・。

英語圏の国やアラブ諸国と違って、トルコ・日本・イタリアなどの「基本的にその国でしか話されない言語を国語とする国」の人々は、一般に外国語習得が不得手であり、外国人に対して閉鎖的な国民性の持ち主であるというのが、経験から導き出した私の持論である。社会が閉鎖的なので外国語習得をとくに必要とせず、必要に迫られないから外国語学習に力が入らず、外国語が苦手だから外国人の言っていることが理解できず、理解できないものを遠ざけて、ますます自分の文化の中に閉じこもるという悪循環に陥っていると思われるが、私の偏見かしら。そんな私も、外国語学習に相当な時間と労力とお金をかけているが、満足に話せる外国語は一つもないような状況である。ああ。

トルコは(日本も)国際化する必要があるのか?
という疑問もわいてくるかと思いますが、私は「ある」と思う。国際化はもはや避けて通れない道である。現代において、インターネットの普及、留学、移民、国際結婚、経済協力、国際ボランティア、国際紛争(!)等の国際交流は急速に進んでいき、もはや鎖国することは不可能。それならば、外国語(特に、最も有効なコミュニケーション手段である英語)を学び、他国・他民族の文化や風習への知識を深め、それらをなるべく軋轢の少ない形で、スムーズに受け入れる土台を作ることが大切ではないでしょうか。

話はそれますが、「アラブ諸国は近代化する必要があるのか?」という疑問に対しては、まだ自分としての意見がはっきり決められないである。あえて言うなら、「あの人には今のままでいてほしい、いつまでも変わってほしくないの、でもこれはきっと私のエゴね・・・」という感じ。別れた彼氏に対する女心と似ているかもしれません。
でも私がどう考えようと、いずれはアラブ諸国も近代化への道を辿ることでしょう。いんしゃーあっらー。今起こっている「アラブの春(アラブ諸国における革命・反体制運動)」が近代化を促進させるのか、それとも妨げるのかもいずれはっきりするでしょう。

イスタンブルの大通りではよく英会話学校のチラシが配られているが、トルコに英語が普及するにはまだまだ時間がかかるように思われる。トルコの若者たち、がんばってね。応援してるよ!
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