外国で一時的個人的無目的に暮らすということは

猫と酒とアルジャジーラな日々

帰国者の戸惑い(2)ゴミ出し問題のぬりかべ その2

2011-07-11 00:19:19 | 日記
私が置いた猫餌に群がるヒトたち、江の島


前回書いたように、日本のゴミ出しの複雑さは、私を途方にくれさせ、ファンタジーの世界に逃避させている。
私が以前住んだことのある国々でのゴミ収集は、もっと簡単でラクだった。
その国々のやり方を以下に挙げてみよう。

イタリア(フィレンツェ市):
街のあちこちにふたつきのゴミコンテナーが設置されている。
「非分別ゴミ用」、「瓶・缶・ペットボトルなど用」、「古紙用」の3種類。「有機ゴミ」用のコンテナーがある地域もある。
各自、家の近くのゴミコンテナーに、好きな時間に捨てに行く。ふたつきなので猫があさったり、ひどく臭ったりする心配はない。ゴミ収集車は週何回かやってきて、このコンテナーをトラック設置のクレーンで機械的に持ち上げてひっくり返し、中味をさらえていく。
週1回(2回だったかも)、巨大な電気掃除機のような清掃車が夜中に道路を掃除していく。

トルコ:
各アパートの入り口に、ふたつきのゴミバケツがあり、住民は好きな時間にそこにゴミを捨てる。あるいは、道端のあちこちに設置されたコンテナーに入れる。ふた付きのものも、ふたなしのものもある。基本的に分別なし。

シリア、パレスチナ:
道端のあちこちに設置されたゴミコンテナーに、好きなときに捨てに行く。分別なし。コンテナーにふたはなく、常に野良猫が何匹か陣取っていて、ゴミをあさっている。ゴミコンテナー周辺もあふれだしたゴミでいっぱいある。道端にゴミを捨てる人たちもいるので、ゴミがたくさん落ちていて歩きにくいが、乾燥した気候のお陰か、匂いはさほどでもない。

エジプト:
屋外のすべてが広大なゴミ捨て場である。分別という概念はそこには存在しない。
みんな道端の好きなところにゴミを捨てる。行商人たちが店をたたんだ夕方、通りは彼らの捨てたゴミでいっぱいになる。猫たちも餌を探してちょろちょろしている。
トラックのゴミ収集業者が夜やってくるので、朝の路上は比較的すっきりしている。
手押し車を押した清掃業者は昼間やってきて、ほうきでゴミを集め、どこかに持ち去る。
シリアやパレスチナ、エジプトで集められたゴミが、どこでどのように処理されているのか、考えるのがコワい。


こう見ていくと、アラブ人は汚いのが平気で、掃除を全くしない人たちだと勘違いしそうだが、彼らは実は綺麗好きで、掃除好きである。はっきりいって、アラブ人は日本人よりもはるかに真剣に掃除をする。ただしそれは自分の家の中だけの話で、家の外がどんなに汚れていても頓着しない。これはイタリア人にも言えることである。
トルコ人も綺麗好きで有名で、トルコの街は一般に清潔で歩きやすい。ただしときどき、街を歩いていると、通り沿いのアパートの窓からゴミが降ってくることがあるので、油断大敵。

これらの国の中では、一番文明的なゴミ収集が行われていのはイタリアだ。さすが、曲がりなりにもヨーロッパの国である。ただしこれはフィレンツェの話であり、南のナポリなんかに行くと事情は全然違うが。
逆にエジプトがナンバーワンのゴミ無法地帯である。革命後、事態はさらに混迷を極めているらしい。日本在住のエジプト人が、日本のゴミ分別にどのように対処しているのか、はなはだ興味深い。一度掘り下げてみたいテーマである。
環境のことを思えば、日本の分別収集はとても地球に優しい、ということになるのであろう。でもあまりに複雑で融通が利かなすぎて、合理性を欠いているのでは、という気もする。環境先進国のドイツなんかではどうなっているのだろう。

日本でもせめてイタリアのように、ふた付きコンテナーを道端に設置して、好きな時間に捨てられるようにしてくれないだろうか。マンションの住民だと、専用のゴミ捨て場に好きな時間に捨てられるのかもしれないが、うちは一戸建てなんである。
朝はゆっくり寝かしてほしい、私の願いはそれだけなの・・・


コメント
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