前回、アンマン城(城塞の遺跡)に向かう階段を登っていく三毛猫を見かけ、なんとなく誘われたような気がして付いて行くことにした、というところで終わっていた。(前回の話)
アンマン城は丘の上にあり、そこまでかなり急な石段が続いている。私はそこをスローモーションでえっちらおっちら登って行った。
少し行ったところで、階段と階段の合間の踊り場のように平らになった部分に出た。ここで一休みしようと思い、しばし立ち止まって辺りを眺めていたら、階段の脇の空き地に子猫が3匹いて、周りの草木の間をちょろちょろして遊んでいるのが目に入った。
向こうもこっちに気が付いて、恐る恐る覗いてくる。
なんなの、君らのこのかわいさは…
天国への階段か?
しばらく子猫たちを眺めて目の保養をしてから、また階段の続きを登る。最初に見たミケちゃんはもう見失ったと思っていたが、さにあらず。少し先で私を待っていてくれた。一度登り切って、また戻ってきたのかもしれないが。
「ちゃんとついてきてる?」
導かれるまま階段を上まで登り切ったら、ミケちゃんが子猫と一緒にいた。お子さんですかね。
ここは坂を横切る形で通っている道路で、上にはまだアンマン城に向かう階段が続いていた。道案内のお礼に、ミケちゃんたちにカリカリをあげたら、他の猫も数匹寄ってきた。片隅には、ペットボトル入りの猫用の水も置いてある。誰か猫好きの人が用意したのだろう。
記念撮影風
すみっこぐらし風
グラビアアイドル風
子猫多発地帯だった。
写真を撮っていたら、何か容器を手にした男性が登場して、猫たちにエサをあげ始めた。フライドチキンの食べ残しに見えた。おお…この人は、猫おじさんだ~
猫のために水の容器を用意したのも、この人かもしれない。そういえば、階段の下でも猫にエサをあげる男性を見かけたのだった。ヨルダン、猫おじさんが多いな。トルコに負けてないのでは。
エサやりの様子を見守り、写真を撮っていたら、彼はすぐそばにあるという自宅に招いてくれた。家の中にも猫がいるから、見に来ないかという。人相の良い人だったので(っていうか、けっこう男前)、家に上がり込んでも問題がないと思われた。まずミケちゃんに誘われて階段を上り、そこに登場した猫おじさんに誘われたわけだから、ここはひとつ、流れに従って付いて行くべきだろう。
話の通り、家にも猫が数匹いた。
猫おじさんの秘蔵っ子、ふわふわの子猫ちゃん
やはり、家猫の方が外猫より毛並みが綺麗だ。どっちもかわいいけど。猫だから。
彼は、「部屋でうちの妻が昼寝してるから、起こさないように気を付けてね」と小声で言い、その部屋の端っこをそうっと横切って、ベランダに出た。えっ…私は奥さんが昼寝してるのに、家に入り込んでるの?やましいところは何もないけれど、もし私が奥さんだったら、寝てる時に夫が見知らぬ女を連れ込んでるのを知ったら、一生許さないと思うが、いいんかいな??
とりあえず、言われた通りに忍び足で歩き、彼の後を追ってベランダに出てみたら、そこには素晴らしい風景が広がっていた。
ほぼ正面に円形劇場が見えて(写真では小劇場オデオンが中心に来ているが)
左手にアートな壁絵があり
右手にはアンマンの街が一望できる
庇の所には、扇風機が設置されていた。彼は夏場はいつもベランダで寝るのだそうだ。廊下には、いい匂いのするハーブの植わった鉢がいくつか並んでいた。
彼は内戦前からヨルダン在住のシリア人で、年の頃は私と同年代か少し下くらいに見えた。奥さんはヨルダン人だそうだ。特に裕福そうには見えなかったが、このような絶好のロケーションの家で、かわいい猫たちに囲まれて過ごすのは、とても贅沢な暮らしのように思えた。ラッキーな人たちだ。
ベランダからの眺望を堪能させてもらった後は長居せず、さくっとおいとました。奥さんが目を覚ましたら、エライことだからな…
またさっきの猫スポットに戻って、猫たちの様子を眺め、写真を撮った。前日にザルカで買ったタイ製のちゅ~る類似品をあげてみたら、すごく食いつきが良かった。これはちゅ~るだと認定していいだろう。
「うみゃ~」
そうこうしているうちに、彼が追加のエサを持ってやってきた。一日に何度もあげるらしい。私が猫たちにタイ製ちゅ~るをあげているのを見て、それは何かと聞くので、猫が大好きなペースト状のおやつだと説明し、1本渡して猫にあげてもらった。
こぼしすぎ
なくなったら、もう1本欲しいと言われたのであげた。高いんだがな…残り1本になってしまったので、後でペットショップで買い足すことにして、彼に別れを告げ、ホテルに帰るべくダウンタウンに向けて歩き出した。
適当に坂道を上り下りして、気が付けばけっこう遠回りしていた。
通行人のための無料冷水器。フィルターで濾過してあるって書いてあるけど、ほんとか。
やっとダウンタウン付近の平地まで降りてきた。
チキンの丸焼きで有名な店「アンワール・マッカ」(أنوار مكة)に遭遇。
他にも色々メニューがある。ここでヨルダンの国民的料理「マンサフ」を食べたことがあるが、美味しくてまあまあ安かった気がする。
チュロス風の揚げ菓子のあるお菓子屋さん
チュロスとちゅ~るって、ちょっと似てるよね。「ちゅ」の音とか、にょろにょろしてるとことか。
ダウンタウン中心部に到着。ゴールドスークの辺りでも子猫を発見。
ようやくホテルに戻り、ビールを飲んでしばらく仮眠を取った。暑い中歩き回って疲れた時は、冷えたビールが一番だ。なんならスプマンテ(イタリアの発泡ワイン)でもいいんだが、ヨルダンでは高いから一生買えない。
エアコンの効いた部屋で死体のように眠り、夕暮れ時にゾンビのようにむくっと起きて、また出かけた。まずちゅ~るを買い足すため、アンマン山(という名の丘)の第一サークル付近のペットショップ街に行く。
今度は中国製を買ってみた。値段はタイ製と同じ。
アンマン山からダウンタウンにかけて歩いている時、いくつか壁絵を見かけたので、写真を載せておく。
これは壁絵ではないが、そのようなものだろう。
「何も考えたくない」と書いてある。わかる。
ダウンタウンに戻ってきたら、もう日が暮れていた。
市場方面に歩いて、例の靴屋に顔を出し、母猫と子猫に最後の挨拶をした。
母子ともに健康そうで安心。母猫はまた私にすり寄って来る。うう、かわいい…
例の如く撮影に失敗…でも、愛くるしさは伝わるのでは。
靴屋の店員たちにしっかりエサをもらっているようだが、最後なので、母猫に中国製ちゅ~るをあげた。こちらもタイ製のものと同様、食いつきが良かった。世界各地にちゅ~る類似品が登場しているようだが、いなばペットフード社、特許を取った方がよかったのでは。
店員2人にも別れの挨拶をして、セブンイレブンの品川巻きをあげた。おやつ用に持ってきたけど、食べなかったやつだ。彼らも日本が好きで、いつか日本に行きたいと話していた。猫たちも彼らも、また会えるかどうかはわからないけれど、元気に幸せに暮らしてほしいな…
帰りにいつもの安食堂に寄って、シャワルマサンドとアラーイス(挽肉ベースの具をピタパンに挟んでオーブンで焼いたもの)を買って帰り、ホテルで食べた。獰猛な顔の売り手から大量に買わされたサクランボもがんばって消費した。
アラーイス(عرايس、ネットで拾った写真)
翌日は朝8時に起きて、トルコに移動する予定だった。ヨルダンでの1週間は、時間を持て余すかと思ったが、けっこう色々なことが起こり、退屈する暇がなかった。トルコではどうなるだろうか。
(続く)
仔猫は、やはり可愛いですね、ミチさんも可愛いのだろうけど。
ネコおじさん宅訪問記、ドキドキしました。
はじめは、おじさんが妻と言っているのは、お母さんネコなのかなぁ~とか、健全に想像してたけど。
まぁ、人間の奥さんが目を覚まさないで良かった、良かった。
もし、奥さんが目を覚ましていたら「泥棒ネコ!」呼ばわりされて、修羅場になっていたのでしょうかねぇ。
最後の靴屋のネコ母子と店員さん2人との別れ、心暖まりますねぇ、読んでいても、幸せな気持ちになりました。
それにしても、ハイペースな更新、ご自愛ください。
では、また。
子猫は猫の子供なので、存在自体がアイドルですね~私も妖怪界ではかわいめのヤマンバかもしれませんが、(´∀`*)ウフフ
猫おじさんの奥さん、目が覚めてたらどうなっていたのか、ドキドキ…色んな人と猫と出会ったヨルダンの旅でした~ヨルダン、いいところですよ~おススメ(⌒∇⌒)