今回は、東北沢駅付近にあるエジプト料理店「デリショップ うちむら」の話。
この店は、エジプト人と結婚した日本人女性(うちむらさん)が切り盛りしている小さな食堂で、他のアラブ料理店と比べて価格設定が非常に良心的だ(漢字変換、最初「両親的」って出たけど、これはこれでOK・・・?)。しかも、美味しい上に健康的でもあるのだ。
料理は全てハラールで、食品添加物も一切使用していないという。アルコール類も全く置かれていない。私は基本的に、国内では酒が飲めない飲食店に足を踏み入れないことにしているが、この店は例外扱いにしようと思う(なんかえらそう)。あんなに美味しいアラブ料理があの価格で食べられる店は、なかなかないからだ。以前このブログで書いた神楽坂の「アラビックカフェ&デリ アブ・イサーム」も安くて美味しいが、この2店はメニューも雰囲気も違う。あちらはお洒落なカフェ、こちらは家庭的な小食堂という感じ。
イスラム教徒(ムスリム)が経営していても、採算が取れるようにアルコール類を提供している店が多く、アブ・イサームのように、メニューにはなくても持ち込みOKにしているところもあるわけだが、この店は東京ジャーミイに近く、イスラム教徒のお客さんが多いはずだから、完全ハラールでもやっていけるのだろう。イスラム教徒の人たちが安心してゆっくり食べられる飲食店は、日本には少ないので、こういう店は彼らにとってありがたい存在なはず。酒が飲みたければ、後で飲めばいいし、テイクアウトもできるのだ。
この店には以前何回か来たことがあるが、ここ5年ほどはご無沙していたので、道に迷う自信があったが、案外迷わずにたどり着けた。奇跡だ。今まで毎回迷っていたのに。(別に行きにくい場所にあるわけではなく、単に方向音痴なだけ)
エジプト料理店だというアイデンティティを前面に押し出している手作り感満載の看板
「うちむら」という店名が見あたらないのが興味深い。アラビア語で書かれているのは宗教的な文言だが、右下のヒエログリフは何を意味しているんだろう。猫っぽい形が見えるが・・・
厨房との境にあるこの暖簾の鳥さんも気になる・・・
テーブルは4つだけ。椅子は横並びに置かれ、対面では座らないようになっていた。コロニャ対策、ばっちりだ。他のお客はいなかった。
メニュー
悩んだ末、私はモロヘイヤ(スープ)とライス、それにムサッアー(ムサッカ)とピタパン1枚も頼んだ。飲み物はサトウキビジュース。友達はラムのシャワルマのプレートとザクロジュースを選んだ。
料理は割とすぐ来た。モロヘイヤが明るい緑色で、なんとなくテンションが上がる。
友人のシャワルマ・プレートは、ライス(パンも選べる)、サラダ、ムサッアー、ひよこ豆などが付いていた。
全体的に小盛りとは言え、酒なしで外食してパンとライスを両方頼んだりするのは久しぶり(前世以来?)だったので、残さずに食べられるかどうか心配だったのだが、あっさり食べられた。友人には、酒がなかったからこそ食べ切れたのではないかと言われたが、どうなんだろう。
モロヘイヤは葉を乾燥させて粉末にしたものが使用されていた。私はどちらかというと生の葉を使ったスープの方が好きなのだが、ここのは風味がよく、ほどよいネバネバ具合でご飯に合った。
この店のムサッカ(ムサッアー)は、茄子やピーマンなどの炒め煮のようだった。トマトやクミンの風味がした気がする。けっこう油っこいはずなのに、どんどん食べられる。ピタパンも手作りでふわふわと柔らかく、歯の悪い私(もうよぼよぼ)にも優しい食べ物だった。余計な味がしないので、どんな料理にも合う。サトウキビジュースはだけはイマイチだった。おそらく缶ジュースで味が薄く、本場エジプトのジューススタンドで飲む、その場でサトウキビを絞ったジュースとは別物だ。
シャワルマは、現地のお店で食べる例のぐるぐる回って焼かれた肉をそぎ落としたもの(トルコのドネルケバブに当たる)ではなく、肉の細切れを野菜と炒めた家庭料理バージョンだったが、こちらも控えめな味付けながら、とても美味しかった。(友人のを一口もらった)
友人と「美味しいね」「美味しいね」と言い合いながら食べている間に、外国人の男性が1人入ってきて、唐揚げ弁当をテイクアウトして行った。唐揚げも美味しいに違いない。
支払いの時に、カウンターの中にいたうちむらさんに「景気はどうですか?」と聞いてみたら、「悪くないですねー。 うちはもともと、デリバリーもやってますしねー」という返事だった。店名に「デリショップ」とつくだけあって、デリバリーやテイクアウトの顧客が多そうだ。良かった。コロニャ収束の見通しがない日本で、しかも東京にあっても、この店は安泰のようだ。
今回は写真が少ないので(いつも?)、以前撮った写真も、この際載せておく。
マトンカレー この店のカレーもお勧めだ。
テイクアウトしたバーミヤ(オクラのトマト煮)セット
シシケバブ(チキンとラム) 付け合わせの黒オリーブも美味しかった。
タアメイヤ(そら豆のコロッケ)とムサッアー、ババガンヌージュ(焼きナスのペースト)
シャワルマサンドなど
ハイビスカスティー(カルカデ)
シャーイ(紅茶)のセット。ヤカンがラブリーだ。
エジプトでは、「シャーイ・コシャリ」という粉末状の葉で淹れた紅茶がよく飲まれている。カップに粉末を直接入れて、お湯を注いで混ぜ、沈むのを待ってから飲むのだ。このお茶といい、タアメイヤといい、コシャリ(食べ物のほう)といい、エジプトには他のアラブ諸国にはない独特の食文化がある気がする。お隣のスーダンあたりとは共通点が多いのかもしれないが、スーダンには行ったことがないので、よくわからない。スーダンでは長年飲酒は非合法だったが、昨年7月に非ムスリムの飲酒は合法化されている。お酒が飲めるなら行ってもいいな、そのうち・・・(結局酒のことばかり考えている私)
(参考)
食べログ
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13095642/
お店を紹介する記事
https://press.chiku-wa.jp/press_2838/
(終わり)
エスニック料理店は、往々にして高めの設定で、野郎1人では、入店に躊躇します。と言って、このお店のようなその国の人御用達のようなお店もやはり躊躇しますが、Michiさんのご紹介で安心して入れます。(日本を出れば、躊躇もへったくれもなく、どんな店にもヌケヌケと入るのですが)
ともかく行ってみよう!
代々木上原駅から東京ジャーミイに寄って、ついでにジャーミイの裏の文化センターに入っているハラルマーケットでお買い物して行かれるといいですよ~もしまだ行かれてなかったら。ハラルマーケットについても記事を書く予定ですが、すぐには書けなさそうかも~
カフェは今コロニャのせいで閉まっていますが、マーケットは開いてますんで。
https://tabelog.com/tokyo/A1318/A131811/13198118/