道東出身の夫が故郷で友人に会うと言うので、旅行を兼ねて行ってきた。
夫の故郷の釧路市は、義父母と同居するまで毎年、年に2~3回ほど帰省していた。
釧路市は札幌から車で7時間以上。飛行機で沖縄へ行くよりも時間がかかる。
子どもが小さかった頃、連れて行くのはかなり大変だった。
すぐに車の中で飽きてぐずり始める為、何度も途中で止まっては遊ばせながら行ったので余計に時間がかかった。
やっと到着すると、今か今かと楽しみに待っていた義父母に子どもたちの世話を任せ、私は早速食事準備に取り掛かる。
身体は疲れていたが、夫の実家では常に緊張感マックスだったので(若かったのね・・・)精神的疲れはあっても家事の疲れはあまり感じなかった。
でも釧路へ帰省することが決まると、毎回かなり憂鬱な気分になったのは事実だった。
さて、そんな思い出のある釧路へ行くのは、義父母と同居して以来16年ぶり。
もう夫の実家へは行かないし、長いドライブでぐずり始める幼子も連れていない。
徐々に近づく夫の故郷を、今は楽しみにしている自分がいるなんて、あの頃の私に教えてあげたい。
(大丈夫。釧路が懐かしくて、行くのが楽しみになる時がくるよ~と)
釧路市内に入って最初に行ったのは、町を流れる釧路川にかかる「幣舞橋」(ぬさまいばしと読む)
何度この橋を渡ったことかと懐かしい。
あの頃、幣舞橋から見た夕日の美しかったこと。
ちなみに幣舞橋から見る夕日の美しさは有名だそうで、インドネシアのバリ、フィリピンのマニラと並んで世界三大夕日と言われているのだとか。(ホントかな~)
さて食事は、市内の老舗蕎麦店「竹老園」へ行った。竹老園はとても有名な店で、上皇陛下が皇太子時代にご夫妻でいらっしゃったそうだ。
普通はこちら↑の入り口から入るのだが、座敷を要望すると庭に面した写真↓の入り口から入る。
竹老園のお蕎麦は綺麗な緑色で(緑色じゃないお蕎麦もある)白い更科粉にクロレラを加えてある(ん?グリン麺と同じ?)
竹老園は釧路へ行くと必ず食べに行ったものだったが、今回は16年ぶりの訪問。16年経っても味は変わらずおいしかった。
ところで竹老園でお蕎麦を食べていたら、結婚が決まって初めて釧路の家を訪れた時のことを思い出した。
義父母がわざわざ竹老園のお座敷を予約してくれて、コース料理を二人の姉の家族も一緒に大勢で食べた。
その時のことは、緊張していて味はほとんど覚えていないのだが、唯一そば寿司がめずらしくてすごく美味しいかったことが記憶にある。
あの時、夫の家族は初めて来た私をみんなで精一杯歓迎してくれていたんだ。そう思ったら胸の奥がきゅんとなった。
そして最後は、今はもう知らない他人が住んでいる実家へ行ってみた。
当時の庭があった場所には建物が建っていて、周辺はすっかり様変わりしていた。
実家の建物もリフォームして少し変わっていたが、家はほとんど当時のまま残っていた。
あの窓は台所、あの窓はリビング、あそこは二階へ続く階段の窓。
懐かしく思い出しながらふと横を見たら、遠い目をして家を見ている夫がいた。
ああ私よりずっと感慨深いのは、ここで育った夫の方だった。