「すごいなあ、、、〇〇から来たメールなんだけど、あいつ今アメリカにいるらしい。これ見てごらん」
夫が見せてくれたのは、学生時代の古い友人からのメールで、たくさんの写真と共に長い文章が載っていた。
写真を見ると、どうやらパーティ会場で写したもので、夫の友人とその奥さんが、アメリカ人たちと肩を組んで楽しそうに写っていた。
そして一緒に写っているアメリカ人が、私たちの世代なら、殆どの日本人が一度は聞いた事がある、アメリカの重要な国のポストにいた有名人物のご子息なのだと聞いて驚いた。
それにしても夫の友人がなぜアメリカで、しかも、そんなすごい人たちのパーティに出ているのかと言うと、友人であるパーティの主催者に招待されたのだそうだ。(招待されて、すぐにアメリカまで行っちゃうのもすごいが)
そして招待客のほとんどがアメリカの超富裕層の人たちであり、主催者自身もアメリカでは名の知れた経済人を父に持つ人だそうだ。
そんな超富裕層の人と、なぜ夫の友人が知り合いに?と興味がわく。
夫が友人から聞いた話によると、二十代の頃に日本に来ていた彼(パーティの主催者)と出会い、友だちになったそうだ。
以来30年以上も交友関係は続き、友情を深めているのだとか。
友人も経営者だが、ビジネスの関係はなくて、まったくの個人的な友人だという。
「あいつは昔からフレンドリーで、外国人でも、自分が英語が話せなくても、関係なく友だちになってしまうんだ。あいつらしいな」と夫が言った。
夫の友人とは私も会ったことがあるが、無邪気な子どものような心を持っている人だなあという印象を持った覚えがある。
だから、このメールも自慢でもなんでもなくて、純粋に「こんな世界もあるよ」と、私たちに知らせたくて送ってきてくれたメールだと思っている。
話は戻るが、パーティは二日間に渡って行われたそうだ。
心なしか、友人の奥さんの笑顔にも疲れが見える、、、きっと奥さんは大変だろうと思う。二日分の衣装も悩むが、常に笑顔で会話(しかも英語)をしなければいけない。私ならとてもじゃないけど無理だー。
パーティに出た料理も紹介してくれたが、今は昆虫食が流行っているようだ。子供の頃にイナゴの佃煮が美味しかった記憶はあるが、果たして、今は食べられる自信がないかも。
送られてきた写真からは、パーティの華やかさが伝わってくるようだったが、一番興味を持ったのは友人の感想だった。
「超富裕と言われる閣僚や経済人は、ほとんどが繋がっている。そして、その子どもたちも繋がっている。ただ親の世代とは違ってきている。
親の世代は自己主張が強く、シビアで厳格で、生馬の目を抜くような人たちだったが、子ども世代はそうではない。親の後を継いで政治家や経済人になろうという人は少なく、自分の人生を楽しんでいるように見える。
でも代々受け継がれてきた資産は、きっと上手に次の世代に渡していくのだろうと思う」
アメリカも変わって行くのだろうか。
どことなくお父さんの面影のあるご子息の写真を見ながら、あの厳しそうな顔で、厳しい事を日本に言っていたであろうアメリカの閣僚の顔を思い浮かべてしまった。