お笑い芸人で漫画家の矢部太郎さんが描いた「マンガ ぼけ日和」の紹介が、新聞に載っていた。
前作の「大家さんと僕」シリーズは全部読んだのだけど、矢部太郎さんの描く絵もストーリーもゆるくて暖かくてとてもよかった。
こちらの「ぼけ日和」も「大家さんと僕」同様、ゆるくて暖かく認知症の高齢者の日常を描いているマンガだそうだ。
新聞記事に、本の内容の一部が紹介されていた。
以下、北海道新聞より抜粋
象徴的な一編がある。認知症の当事者が介護者の首に「お金盗ったで賞」のメダルをかけるエピソード。
作中の長谷川医師が言う。
患者さんは一番頼りにする人にいつも意識が向いているため、面倒を見ている人が泥棒呼ばわりされる、と。
「お金盗ったは、アンタがいないと困る!の裏返し。介護の勲章なんです」
それを聞いて介護者は涙を流し、笑いながら言う。「その・・・勲章、ぜんっぜん嬉しくない・・・です」
そうだったのかー。
昔ボケてきた義母に、お金や物を盗ったと言われて、何度も悔しくて悲しい気持ちになったが、それがまさかの「アンタがいないと困る」の裏返しだったとは。
同じ時期に実母を介護中だった友人も、認知症の実母から「お金盗ったでしょ」と泥棒呼ばわりされると言って、よく電話がかかってきた。
誰かにこの気持ちを聞いてもらわないと、持って行き場の無いやり切れなさで、心が押し潰されそうになる。友人もそうだったのだと思う。
でももしも当時、このマンガを読んでいたら、もっと心が軽くなっていたのかもしれない。
新聞記事の最後に書かれていたキーワード「介護は知ることで楽になる」という言葉が、今はとてもわかる。
当時「お金盗ったは、アンタがいないと困る」だと知っていたら、憎悪の気持ちは、愛おしさや可笑しさに変わっていたのかも、、、
ところで、最近また高齢の方々とリアルに会っておしゃべりする機会が増えた。
認知症にはまだまだ程遠く、新しいことを学ぼうとする意欲に溢れていていて、元気で若々しい方ばかりだが、多くの方が「コロナの三年間は、ずっと家に閉じこもって、気持ちが暗くなった」とおっしゃっていた。
そして今、コロナはまだ流行っているようだが、そんなことは気にせず(私だけ?)、和気あいあい楽しく過ごす時間を共有している。
いつか自分が、身近な誰かが、なるかもしれない認知症。
そして誰もが避けることができない老いだけど、せめて自分の周りの人とだけでも、少しでも笑って過ごせる時間を持てたらいいなぁと思う。
「マンガ ぼけ日和」早速読んでみようと思っている。