The昭和の人たち(たぶんこのブログを読んでくださってるみなさん)ならご存知、
柏原芳恵さんの『春なのに』。
春なのに、やたら悲しい歌なんだが、今回はまさにその曲のように、ちょっと淋しい話。
お別れのお話です。
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去年の1月にここで記事にしたので(あんなこと、あったね)覚えている人もいるかも知れないが
例の小さな黒い猫。
あれからその猫と私たち(ハニバニ&私)はオーナーさんも入れて仲良くなり、その猫(♂)はブーという名前だと判明。
私たちは毎日ウォーキングしているので、その家の前を通るとブーを見かけることがたびたびあった。
呼んだらワサワサと芝生の上を歩いてやって来てくれ、お腹を撫でさせてもくれた。
たまに夜になるとうちのドアの前に現れたりして、フリちゃんに窓越しに怒られたりもしてた。
ブーはミディにそっくりだったから(小振りの黒猫さんだったからね)、私は余計に可愛く思ってもいた。
そのブーがこないだのイースターの夜、亡くなったんだよね。
いつものようにウォーキングしていて、オーナーさんの娘が外にいたから
ブルース(後に説明あり)のことを聞こうとして近づいたら急に泣き始めたから何事や!と思ったら。
イースターの夜、近所の人がドアを叩いて、「もしかしてあなたの猫?」と外を見てみると
目の前の道路に横たわったブーがいたらしい。
交通事故だった。
彼らが引っ越してきてブーを通して知り合いになった時点で私たちは
「この道路は交通量が多いし、みんな結構飛ばして走ってるから気をつけてあげてね」と言っていた、あの道路。
その話を聞いて、自分たちがブーを撥ねた当事者ではなく、
しかもブーが撥ねられたときの目撃者でもなかったことに安堵したが、
泣く彼女を前に私は「そんなに愛していて悲しいのなら最初から外で飼うべきじゃなかったのに」と思ったり。
私たちも悲しかったが、ちょっと複雑な気分にもなった。
外で飼われてる猫は、家猫と違って、寿命が半分以上も短い。
それは外にいる分、ケンカして攻撃されたり、変なもの食べておなかに虫がわいちゃったり、
家猫なら猫砂の上で発見される血尿とか血便が、外ですることによって飼い主が病気に気がつかなかったりってのが
主な理由らしいが、交通事故でってのも確か大きなファクターだったと思う。
ブー、とっても若かったんだぜ。
残念だな。
自分の家のまん前でってのが、何だかとても気の毒だった。
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もう一つのお別れのお話も、実はブーのオーナーの娘から同じ時に聞いた話。
例のブルース♀(オレンジの猫)
「締めてるんじゃなくて頭を固定してるんだよ」と言いはるハニバニ」
とも、もう会うことはないと思う。
ちょうど一年前の今頃、ブルースのオーナーが飼っていたミャオミャオ
が亡くなったのだけど、なんと同じ年の暮れに今度はオーナー(夫)が急死した。
同じ年に、飼い猫、それから一家の主を失くした家族の悲しみは大きく、
特に奥さんがものすごくショックを受けていた。
しばらくしてから、その奥さんは夫のいなくなった家にいることが耐えられなくなったのか
すぐに引っ越しの準備を始めたが、一緒に飼っていた飼い犬は連れて行くのに
どうしてかブルースは置いて行くことにしたらしい。
「置いてく」、つまり、飼うことを放棄することを意味する。
『ブルースは外で飼っていた猫で、今までどおり自由に歩きまわっていればいい。
近所の人たちがエサも与えてくれるでしょう?ブルースはみんなに愛されているのだから。』
というのが彼女の言い分だった。
それを知った私たちや、近所の住民(その中のブーのオーナーは隣人)は激怒。
だけど、夫を失ってすぐのことで、きっと彼女も精神的に大変なときだからと、誰も彼女を責めることはなかった。
それから引っ越しの日が来ても引っ越す気配がなかったので
ああ、もうだいぶん落ち着いて、もう少し家にいることにしたんだなと安心していたら、
先月の終わり、あっという間に引っ越していた。
あれからブルースも見なくなって、彼女のことが心配で心配で、
「連れて行かないって言っていたから、ブルースはどこかで飢え死にしてるんじゃないか」とか
「保健所に連れてって、まさか処理するように頼んだのではないか」とか
いろんな憶測が湧いてくる。
で、ちょうどよくウォーキングしていたところに隣人のブーのオーナーの娘がいたから
ブルースのことを聞こうとして、で、ブーの話を最初に聞いた...っていうのが流れ。
ブーの話を聞き終わってから、彼女がブルースのことを話してくれた。
なんでも奥さんの息子がブルースを連れてった、とのこと。
どこへ連れて行ったのかはわからない。
ただただ、新しい家に一緒に連れて行ってもらったということを望む以外、ない。
実はその家族が引っ越したと思われる数日前に、私たちはブルースに会ってしばらく遊んでたんだよね。
遠くにブルースを見つけて、『ブルース!』って呼んだら、いつもよりも速く走ってやってきた。
本当に、近所中に愛されていたように、可愛いオレンジの猫。
まさかあの日遊んだのが最後になるとは思いもしなかった。
淋しくなるね。
いままでありがとよ。
オーナーでもない私らを見つけてはかけ寄って来てくれてありがと。
フリちゃんには窓越しにワーワー怒られても(フリちゃんは猫の訪問が嫌い)懲りずにうちの庭にいてくれてありがと。
セルフよしよしが激しすぎて私を何度も『膝カックン』してくれてありがと。
楽しかったぞ。
きっとまた新しい場所で、自分の縄張りを作って、そこでまた近所の人に愛されなよね。
どうか元気で、幸せでいろよ。
私たちの散歩道が、ちょっと淋しくなった。
春なのにね。
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最近雨が多いのですが、雨が降るたびに新緑が濃いくなっていきます。
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いつもありがとう。