くもりがちながらも、穏やかな冬の一日。
灯油を燃料として、暖をとる石油ストーブは、灯油の扱いが面倒だったのだけれど、直火がないと、寒くて冬が過ごせぬ母が、使っていて、10月中旬頃には、近所のガソリンスタンド迄、灯油を買いに行っていました。
18リットルのポリタンクは、重くて、車のトランクに積めないので、ハーフサイズ9リットルのポリタンク2個で、対応していました。
10月下旬頃から、母は、灯油ストーブに火をつけていました。
あの灯油の匂いは、訪れる冬を感じる匂いでした。
子供の頃、灯油ストーブをつけるたびに、クリスマスやらお正月やら、冬の行事も近いなぁ・・・なんて思って。
あの匂いは、嫌いなひとも多いと思うけれど、私には、懐かしい匂いなのです。
母は、電気炬燵、電気座布団、電気膝掛、使い捨てミニカイロで、完全防寒武装して、腰から足を覆うように、膝掛用の毛布を巻き付け、蓑虫のような姿で、冬を過ごしておりました。
『今日は、寒いなぁ。』
と言いながら、廊下を歩いたり・・・家の中は、まだ歩けていたのでした。
あの蓑虫姿は、一度みたら、忘れられない。
母が、歩くと、フリースやら、毛布やらの繊維が落ちて、すぐにゴミと化してしまう・・・と思っていたのだけれど、母が居なくなっても、フローリングの床には、繊維片が落ちているので、コレは、私も、蓑虫だったのね・・・。
私たちは、蓑虫親子でもありました。