朝。
墓参に行くために、長男一家が来てくれた。
「ばぁばさん、プレゼントだよ。 気に入ってくれると思って!」
ふたりの孫に言われて「あら、ま。 猫のフラワースタンド。 いいじゃん、いいじゃん。」「でも、なんで改まって?」「敬老の日のお祝いよ」
「あー、ばぁばは自分をお年寄りと思ってないから、敬老の日も興味が無いのよ」と可愛氣のないことを言ってしまったけれど、墓参から戻って猫の置物をセルロイドの箱から出したり入れたりし、結局、また箱に収めて居間の亡夫の小さなお仏壇に飾った。
孫たちに、ありがとう、ありがとう。
富貴ヶ丘自治会から敬老のお祝い金を頂戴したのは9月初旬のことで、敬老の日はすでに終わったと思っていた。
【国民の祝日に関する法律】(祝日法)が昭和23年7月から施行され、制定時に「国民の祝日」とされたのは、元日(1月1日)、成人の日(1月15日)、春分の日(春分日)、天皇誕生日(4月29日)、憲法記念日(5月3日)、こどもの日(5月5日)、秋分の日(秋分日)、文化の日(11月3日)、勤労感謝の日(11月23日)の9日であった。
その後、主に議員立法による改正が重ねられ、国民の祝日は順次追加され、いまでは16日を数え、その中に【敬老の日】もあがっている。
このことは、私たちの暮らしにとってありがたいことではあるけれど、日程の決め方について、「振替休日」制が導入され、年ごとにお祝いの日が変わるのは、どんなものか。
祝日は祝日、土日は土日。
敬老の日は、毎年「9月15日」で良いではないか。
ま、どちらでも良い、と言えばそうなのだけれど。
さくら@無責任!
鳥羽の墓所から松阪に戻り、いつもの道と違う通りをママが走っているとき、「あ、サ高住【さくらの杜】‼ ママ、お願い。 ここに高校時代の友達で金つなぎの仲間が入所しておられるの。 家族のない方だから、寄ってあげたいわ。車を止めて」「えー、なんで急に言うの」と助手席の長男がママの気持ちを代弁する。※サ高住=サービス付き高齢者住宅(有料老人ホーム)
「ごめん、そんなわけなのよ。 お墓掃除は任せるから…」
常日ごろ、長男一家は「ばぁばさんに振り回されている」と思っているらしい。(長男から直接言われたこともあるし)
こんな顛末を聴くと、読者各位も「なるほど!」と長男一家に同感されるかもしれない。
身内に不義理をしても、求める人のために何かしてあげたいさくら♪
死ぬまで、長男一家を振り回すのだろうか。
いまから、「申し訳ない」と、平身低頭しておこう。
◆
国立病院で看護婦長を務めた後は、地元の看護学校の副校長として後進の指導に尽くし、国から褒章をいただいたK さんは家族を持たず、有料老人ホームで悠々自適の日々だけれど、外出もままならない暮らしに愚痴をこぼし、久しぶりの面会をとてもとても喜んでくれた。
画像下の赤丸を付したところにはKさんが立って両手を振って見送ってくださっている。
広い駐車場を戻る間、振り返るたびに彼女の手を振る姿が見えた。
金つなぎの会のモット―の一つに【誰かのために何かの出来る幸せ】がある。
面会を終えて、10分ほどの道のりを急ぎお寺に向かう道すがら、手前の交差点の角まで長男が迎えに出てくれている。
長男もまた、妻の心中の代弁をし、走り回る母の安否を気遣い、【家族のためにいろいろできる幸せ】を実践しているのだ。
申し訳なくも有難く嬉しく、心の底から辞儀を正した。
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