友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

進学校は大学入学のためにある

2020年12月05日 17時30分59秒 | Weblog

 作家で元外務省の職員だった佐藤優氏の『十五の夏』を読み終えたカミさんが、「あなた、最後の方で納得したでしょう」と唐突に言う。頷いてみたけれど、何を言っているのかと思い、付箋のある「最後の方」を読み返した。

 佐藤優氏は高1の夏休みに、ひとりで東欧からソ連を旅した。それをまとめたものがこの『十五の夏』である。帰国するバイカル号の船内でどこかの高校の先生と話している箇所がある。「短時間で効率的に勉強するコツを身につけている生徒は現役で合格する」と先生が言う。

 佐藤少年が「そのコツとは何ですか」と尋ねると、「授業にきちんとついていくことだ。数学や理科、英語、古文、漢文は積み重ね方式で勉強しないとならない。基礎でどこか欠けている部分があると、授業についていけなくなる」と話す。私は高校の授業で面白いと思った科目はひとつも無かった。

 数学は問題集から100問が指定され、そこから10問が試験に出ると佐藤少年が話すと、先生は「進学校に典型的な勉強法だね。数学は暗記科目という発想だ」と先生は答える。えっ、数学は暗記科目だったのか。英語に強い友だちに試験の勉強方法を聞くと、「範囲を全部暗記しろ」と教えてくれた。

 私は高校に入学した時、質実剛健を校風とする進学校に大きな夢を抱いていた。中学校までは子ども扱いされたが高校は違うと思い込んでいた。先生と生徒があるいは生徒同士で、人生とは何か、何が真実なのかと議論する場だと。

 ところが現実は、「この問題は名大で出た」とか「東大と京大に何人入った」とか、大学入試のことばかりだった。勉強する気は無くなり、「進学校は大学の予備校でよいのか」という問題意識ばかりが膨らんだ。進学校は大学入学のためにあるとはなぜ理解できなかったのだろう。

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