全日本柔道連盟の上村春樹会長ら執行部がやっと8月末で辞任することになった。「今、すぐ」ではないところがいかにも柔道連盟らしい。これだけいろいろと不祥事が続けば、どうもその根は連盟の体質にあると考えるのが普通だろう。そしてさらには、組織の体質に問題があるというのに、そのトップの責任者が「改革を実行」出来るはずがないと考えるのも普通だ。しかし、上村さんらは「改革の目途が立つまでは辞任はしない」と言う。自分の病気は他人に診てもらうのが一番よいのに。
どうして組織に留まりたいのか、その真意は分からないけれど、上村さんの著書に『やりきる』というものがあるそうだ。勝っても負けても、やりきったか否かが大切なことなのだ。彼としては最期まで連盟の会長を「やりきり」たかったのだろう。こういう精神主義はいかにも日本的だが、責任逃れになっていることに気が付きにくい精神でもある。組織が不祥事を起こしたなら、そのトップは責任を取って辞任すれば、必ずその後継の人たちが不祥事の原因を明らかにするだろう。
日本が戦争路線を暴走してしまったその責任も、旧体制をそのまま残して再出発したから、何がいけなかったのか、どこに原因があったのか、誰が責任者だったのか、あいまいなままになってしまった。全柔道連盟は伝統的な日本的体質そのものを受け継いでいる。先の参議院選挙もそうした日本的な体質がまだまだ残っていた中で、あれっ、ちょっと違うなと思うような候補がいた。無所属ながら当選を果たした山本太郎さん、同じく当選した最年少の共産党の吉良佳子さん、落選した緑の党比例区の三宅洋平さんだ。三宅さんは自民党比例区で当選した渡辺美樹さんよりも7万票多い17万票得ながら当選できなかったけれど、その選挙戦はユニークだった。
これからの選挙は、「反対します」「これをやります」だけでは理解は得られない。むしろ、有権者と積極的な会話が出来る候補でなければ支持されないようだ。敵対する考えの人に対しても、ねじ伏せるためではなく、理解し合う方向へと進められる候補でなくてはならないようだ。組織を作り上げ、組織で戦い、組織で考える、そうした思考から自由にならなければダメだ。吉良さんはきっと共産党を離れるだろう。