民生委員の方が『高齢者福祉ガイド』なるパンフレットを持って来た。受け取った時は他人事のように思ったけれど、パンフには「おおむね65歳以上の方」という文字が並ぶ。そうか、私もカミさんもすでに65歳を越えている。私たちも充分に高齢者になっていたのだ。今朝は貸してもらっている土地で、改良した道具を使って井戸掘りをした。ここで掘れなければどこへ出かけて行っても掘れないのではないか、逆に、ここで掘れればどこでもはれるはずだ。そう願ってやってみたけれど、結果は前と同じだった。
道具をいくつか変えてみたけれど、どれもうまくいかなかった。道具の先端を調べてみると、硬い鋼鉄管がかなり変形している。どの先端も同じように傷が出来ている。どうやら硬いものがあるとは思っていたけれど、大きな石のようだ。「これまで掘り上げた砂利のところへ石が集まってきてしまったのではないか」とベテランが解説する。おそらくそうだろうと納得し、「石があったのではどこでも掘れない。今日はここまでにしよう」ということになった。どうやらもっと経験が必要なようだ。しかし、私が一番若いようなこのグループで果たしていつまで続けられることだろう。
昨夜の話の中でも、介護のことが話題になっていた。87歳の方がカミさんの介護をしているけれど、寝巻きのまま車椅子に乗せていた。「あれはないわ」「カミさんが着替えを嫌がるのかもね」「ああなるのかね」という話から、最近このマンションも老老介護が増えてきている話へと進んでいった。若いつもりでいたけれど、いつの間にかそんなことを話題にしなければならなくなっていたのだ。けれども私たちはお気楽な仲間なので、「それで今度はどこへ旅行に行きますか」ともう遊ぶ話になった。「海外旅行は止めましょう。いくら皆さんで行ってらしてと言われてもやっぱり楽しめないもの」と、誕生日会のメンバーでお母さんを介護している夫婦が参加できる国内旅行にしようということになった。
順序は定かではないけれど、親子の話もあった。夫を亡くした友だちは「夫が生きていればもっと子どもたちは家に来るはずだ」と愚痴る。「いや、娘婿というのは義理の父親とはうまく話が出来ないから、盆と正月くらいしか来ないですよ」とひとりが言えば、「お母さんがひとりで暮らしていると思うから、食事に誘ったり出かけて来てくれたりと気を遣っているんじゃーないの。いい娘婿さんじゃないの」とひとりが慰める。「食事に出かければ私が払わなくちゃーいけないから大変よ」と言う。「じゃあ、素直に娘さんに『今日はお願いね』と言えばいい」。「それは死んでもいや。娘には絶対に甘えられない」とまで言う。
娘に負担をかけたくないと思うからだろうけれど、そんなにやせ我慢することはないだろう。娘婿さんたちもプライドの高いお母さんに気遣っているから、頻繁ではなく、ほどほどになっているのだ。やりすぎれば馬鹿にしていると言い、放っておけば冷たいと言う。どうして人は素直に甘えられないのだろう。
道具をいくつか変えてみたけれど、どれもうまくいかなかった。道具の先端を調べてみると、硬い鋼鉄管がかなり変形している。どの先端も同じように傷が出来ている。どうやら硬いものがあるとは思っていたけれど、大きな石のようだ。「これまで掘り上げた砂利のところへ石が集まってきてしまったのではないか」とベテランが解説する。おそらくそうだろうと納得し、「石があったのではどこでも掘れない。今日はここまでにしよう」ということになった。どうやらもっと経験が必要なようだ。しかし、私が一番若いようなこのグループで果たしていつまで続けられることだろう。
昨夜の話の中でも、介護のことが話題になっていた。87歳の方がカミさんの介護をしているけれど、寝巻きのまま車椅子に乗せていた。「あれはないわ」「カミさんが着替えを嫌がるのかもね」「ああなるのかね」という話から、最近このマンションも老老介護が増えてきている話へと進んでいった。若いつもりでいたけれど、いつの間にかそんなことを話題にしなければならなくなっていたのだ。けれども私たちはお気楽な仲間なので、「それで今度はどこへ旅行に行きますか」ともう遊ぶ話になった。「海外旅行は止めましょう。いくら皆さんで行ってらしてと言われてもやっぱり楽しめないもの」と、誕生日会のメンバーでお母さんを介護している夫婦が参加できる国内旅行にしようということになった。
順序は定かではないけれど、親子の話もあった。夫を亡くした友だちは「夫が生きていればもっと子どもたちは家に来るはずだ」と愚痴る。「いや、娘婿というのは義理の父親とはうまく話が出来ないから、盆と正月くらいしか来ないですよ」とひとりが言えば、「お母さんがひとりで暮らしていると思うから、食事に誘ったり出かけて来てくれたりと気を遣っているんじゃーないの。いい娘婿さんじゃないの」とひとりが慰める。「食事に出かければ私が払わなくちゃーいけないから大変よ」と言う。「じゃあ、素直に娘さんに『今日はお願いね』と言えばいい」。「それは死んでもいや。娘には絶対に甘えられない」とまで言う。
娘に負担をかけたくないと思うからだろうけれど、そんなにやせ我慢することはないだろう。娘婿さんたちもプライドの高いお母さんに気遣っているから、頻繁ではなく、ほどほどになっているのだ。やりすぎれば馬鹿にしていると言い、放っておけば冷たいと言う。どうして人は素直に甘えられないのだろう。