友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

「大丈夫。彼女は寂しがり屋だからすぐに迎えに来る」

2020年12月20日 17時15分27秒 | Weblog

 友だちが亡くなるのは、悲しいというより寂しい。オシャレで豪快なところもあり、お酒も強くてよくおしゃべりする人だったから、余計にそんな気がする。家族葬だからという訳ではないと思うが、参列者は少なかった。家族と親しい友人だけの、けれども心の通じ合う葬儀だった。

 オシャレを自負していた人だったが、出立もオシャレに行うことが出来た。柩の中には溢れるほどの花が、それも大好きなピンクで埋め尽くされた。ハワイでも着たであろうフラダンスの、ピンクの衣装と白地にハイビスカスが描かれた衣装が納められた。

 「先に亡くなった父は、天国にやってきた母の姿を見てびっくりするでしょうね」と娘さんが言う。大好きなコーヒーをそっと唇に注ぐ様子に、「日本酒もワインも好きだったし、強かったわね」と友人が言う。「これからふたりは、毎晩飲めていいわね」の一言にみんなが笑う。

 笑いが生まれる葬儀でよかった。「辛気臭いのはごめん」と彼女に叱られずに済む。葬儀でいつも思うのは、何を言っているのか理解できない経典を長時間に亘って聞かされることだ。口語訳したお経では威厳が無くなるのだろうか。これでは葬式仏教と揶揄されても仕方ないが、仏教が廃れるのは必至だろう。

 通夜の時の導師は、最後に「お話をさせていただきます」と言い、「過去は取り返せないが、この出会いを受け止めてください。自分を見つめ、これからを大切にしていただきますように」と話した。死ぬまでが人生、悔いのないように生きなければならない。隣の友だちが「先に逝かれちゃったね」と言うので、「大丈夫。彼女は寂しがり屋だからすぐに迎えに来る」と応える。

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