読書週間なのか、朝日新聞に『オーサー・ビジット2009』という特集が掲載されていた。作者(オ-サー)が全国各地の学校を訪問(ビジット)するという事業である。今回、訪れた作者は、瀬戸内寂聴さん、岩井俊雄さん、桂文我さん、俵万智さん、後藤道夫さん、亀山郁夫さんの6人だった。記事を読むと、NHKテレビでやっていた(?)先輩が母校へやって来て行なう授業のように思った。テレビでは小学校へ出かけていくのだが、このビジットは小学校だけでなく、中学校や高校もある。「まちのオーサー・ビジット」もあった。
ふと、私が高校生の時を思い出した。私はキリスト教会に通っていた。新聞部にいて将来は新聞記者になりたいと思ってもいた。生徒会長でもあった。政治と教育には深い関心があり、高校1年に読んだ矢内原忠雄著『政治と人間』に感銘を受けていた。購入した年月日は1960年8月27日となっている。高校に入学したばかりの時に、“60年安保”が起きた。この本はそんな状況の中で「民主主義とは何か」「教育とは何か」をキリスト者の立場から書いていた。矢内原氏は内村鑑三氏の教えを受け継ぐ人であった。
著書は各地での講演を集めてあったので、私は「わが校の文化祭に来てお話して欲しい。文化祭がダメならご都合の良い時を教えてくだされば学校と交渉して講演会の段取りをします」、そんな趣旨の手紙を書いて送った。東大総長を務めた人が来てくれるのに、いくら頑固な校長でも許さざるを得ないだろうと考えた勝手な行動だった。ところが返事がなかなか来ない。ダメなのかなと思っていたら、息子さんの矢内原伊作氏から忠雄氏の体調が優れず出かけることは出来ないという手紙が来た。あの時は、全く気が付かなかったけれど、伊作氏の自筆の手紙を持っているだけでも貴重なのに、あの手紙はどうしてしまったのだろう。
小学生を相手に話した瀬戸内寂聴さんは黒板に1)まんが本、2)おもしろい本、3)ためになる本、4)むつかしい本、5)すきな本と書いて、「まんがは私も好き。好きな本から読みましょう。面白いという本は自分もそう思うか読んでみるといい。ためになる本はきっといいことが書いてあるはず。むつかしい本は読まなくてもいい」と話している。また、中学生以上のまちの会場では、「恋と愛の違いは?」「恋は永遠ですか?」の質問に、「恋は愛するだけでは足りず愛されることを求めるのね。仏教で『慈悲』と呼ぶのが愛。見返りを求めないの」「恋愛は残念だけど永遠じゃないわね」と答えていた。
中学生を相手に話した俵万智さんは、生徒たちが「夏の思い出」か「恋」をテーマに詠んできた作品を講評し、「恋の歌にビビッドな作品が多く、夏の思い出は観念的だったのは意外だった」と話す。「付き合わない だっていつかは 別れるから 終わらないように 始まらせない」という歌には「哲学を感じました。でも、恋はしないより、した方がいいですよ」と言う。記者は「さらっと言える俵さんがまぶしい、恋に恋する中学生たちだった」と結んでいた。
私は私自身を振り返り、まだ10代から抜けきらない恋愛初心者みたいだと思った。
ふと、私が高校生の時を思い出した。私はキリスト教会に通っていた。新聞部にいて将来は新聞記者になりたいと思ってもいた。生徒会長でもあった。政治と教育には深い関心があり、高校1年に読んだ矢内原忠雄著『政治と人間』に感銘を受けていた。購入した年月日は1960年8月27日となっている。高校に入学したばかりの時に、“60年安保”が起きた。この本はそんな状況の中で「民主主義とは何か」「教育とは何か」をキリスト者の立場から書いていた。矢内原氏は内村鑑三氏の教えを受け継ぐ人であった。
著書は各地での講演を集めてあったので、私は「わが校の文化祭に来てお話して欲しい。文化祭がダメならご都合の良い時を教えてくだされば学校と交渉して講演会の段取りをします」、そんな趣旨の手紙を書いて送った。東大総長を務めた人が来てくれるのに、いくら頑固な校長でも許さざるを得ないだろうと考えた勝手な行動だった。ところが返事がなかなか来ない。ダメなのかなと思っていたら、息子さんの矢内原伊作氏から忠雄氏の体調が優れず出かけることは出来ないという手紙が来た。あの時は、全く気が付かなかったけれど、伊作氏の自筆の手紙を持っているだけでも貴重なのに、あの手紙はどうしてしまったのだろう。
小学生を相手に話した瀬戸内寂聴さんは黒板に1)まんが本、2)おもしろい本、3)ためになる本、4)むつかしい本、5)すきな本と書いて、「まんがは私も好き。好きな本から読みましょう。面白いという本は自分もそう思うか読んでみるといい。ためになる本はきっといいことが書いてあるはず。むつかしい本は読まなくてもいい」と話している。また、中学生以上のまちの会場では、「恋と愛の違いは?」「恋は永遠ですか?」の質問に、「恋は愛するだけでは足りず愛されることを求めるのね。仏教で『慈悲』と呼ぶのが愛。見返りを求めないの」「恋愛は残念だけど永遠じゃないわね」と答えていた。
中学生を相手に話した俵万智さんは、生徒たちが「夏の思い出」か「恋」をテーマに詠んできた作品を講評し、「恋の歌にビビッドな作品が多く、夏の思い出は観念的だったのは意外だった」と話す。「付き合わない だっていつかは 別れるから 終わらないように 始まらせない」という歌には「哲学を感じました。でも、恋はしないより、した方がいいですよ」と言う。記者は「さらっと言える俵さんがまぶしい、恋に恋する中学生たちだった」と結んでいた。
私は私自身を振り返り、まだ10代から抜けきらない恋愛初心者みたいだと思った。