高校野球を見ていたら、「野球は筋書きのないドラマ」にぴったりの試合だった。第3試合の長崎の創成館と奈良の智弁学園との試合は息詰まる展開となった。3回に先攻の智弁学園が1点を先取したが、どちらも点が取れないまま9回まで進んだ。9回の表、智弁学園は3人で攻撃が終わる。「裏で何かが起こりそう」と解説者が言うが全くその通りになった。
創成館がここで1点を取って同点となり、なお1死満塁と攻め立てた。ヒットが出れば逆転勝利と思ったが、打球はフラフラっと遊撃手の前に落ちた。遊撃手が飛び込んできて捕球したが「ノーバウンド」だったので、選手はそれぞれ塁に戻った。しかし、主審が「ノーキャッチ」と両手を広げたので、智弁学園の選手はホームと3塁に送球し、併殺となってしまい延長戦となった。
私にはこのルールが理解できないが、審判たちが集まって協議しても判定は変わらなかったから、そういうものなのだと思うしかない。こうなると創成館にツキはなく、智弁学園の勝利かと思ったが、表の智弁学園の攻撃は実らなかった。裏の創成館の攻撃もヒット性の当たりが出るのに、サンタ―の渾身のプレイに阻まれてしまう。やっぱり創成館にツキは無い。
打席に立った選手はこれまでヒットが無い。甲子園での9度目の打席で出た初ヒットは、センターオーバーのサヨナラホームラン。これほどのシナリオがあるだろうかという見事な演出だった。「神がかり」という言葉があるが、どうしてこうしたドラマが生まれるのだろう。「気持ちが強い方が勝つ」とスポーツの世界では言うが、本当のような気もするし、気持ちだけで勝てるのとも思う。
萎えてしまえば、気力は失せる。我が市では、4月8日の選挙に向けて各候補者が必死に「政治活動」を展開している。各回ごとに得点を重ねるのか、それとも9回裏の大逆転か、いずれにしても「必死さ」が勝敗を左右するだろう。彼らが必死になっているのに、私たちは明日は「桜の宴」である。そんな訳で、明日はブログを休みます。