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創作舞踊劇『名古屋城天守物語』は意外と面白かった

2020年12月12日 17時54分30秒 | Weblog

 『名古屋城天守物語』は創作舞踊劇で、初めて観る私にはよく分からなかった。日本舞踊で物語を表すことの難しさというか、造詣の無い私には何だか退屈に思われた。それがどういう訳なのか自分でも分からないが、観ているうちに舞台に惹きつけられてしまった。

 名古屋城は関ケ原の合戦の後、徳川家康が加藤清正らに命じて作らせた城だ。尾張丘陵の西の端に建てられ、堅牢だけでなく美しさでも際立っていた。5層5階の天守閣の屋根に、金の鯱が置かれたことが名古屋城を有名にした。

 凧に載って金の鯱を盗もうとした者がいたことや、先の大戦で天守閣が焼失し、コンクリートで再現されたことなど、400年の天守の歴史が日本舞踊を中心に展開された。私の知り合いのダンサーは、本丸御殿に復元された襖絵にかかれた豹の妖かしの役だった。

 天守閣の秘密を守る妖怪の設定も面白かったが、地下の井戸に在った金の延べ棒が無くなったことから犯人探しが物語の中心となるのだが、実は金の鯱のうろこをはがし、混ざりものを加えて財政を助けていたという、とても今日的な問題であった。

 「伊勢は津で持つ 津は伊勢で持つ 尾張名古屋は城で持つ」と、伊勢音頭にも唄われた名古屋城は、私たち愛知県人にはなじみ深い。長唄とか常磐津とか言われても、どこが違うのか分からない私だが、小学校へ遠回りして通った道から三味線の音が聞こえてきたことを思い出す。

 その家には私よりも2つくらい歳下の、色の白い可愛い女の子がいた。学校への登下校の時は、ひよっとしたら会えるかも知れないと期待した。三味線の音に寄せる淡い思い出である。

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