とても眠い。疲れると何かを考え、判断したくない。どうでもいいやという気持ちになっている。眠らせない拷問があると聞くが、眠らせてくれるなら「言われるままでいい」と思うのは当然な気がする。それでも口を割らない人もいたようだから、信念か根性の差なのかも知れない。
さすがに2日間も、朝から夜遅くまで立ちっぱなしでいると疲れる。以前なら、意外にやり切れたのに、耐えられなくなったのはやはり歳を取ったのだ。夜9時に祭りが終わり、片付けをして10時から反省会に入るが、空きっ腹のビールはうまい。売り上げを上げるための提案が若い人たちから出されるのも嬉しい。
祭りの打ち上げ会が1泊旅行になるか日帰り旅行になるかは売上次第だから、頑張ろうということになる。小6の女の子から「1泊がいい」と要望が飛び出し、みんなで大笑いになったが、ますますやる気スイッチが入った。屋台をやる限り、売り上げを伸ばしたいのは当然なことだが、長くやっていると売り上げを伸ばすことが目的化してきている。
市民が主体になって、祭りを盛り上げ、市民の一体感に寄与出来ればと思って参加してきたが、もう限界だと思う。マンションの管理事務所から電話があり、「今回は目をつむるけど、生活ゴミではない発泡スチロールとか段ボールを出さないでください」と叱られた。市からは「祭りで出たゴミは持ち帰ってください」と言われているのに、いったいどうすればよいのだろう。
祭りの最後に委員長がマイクで、「私たち実行委員会は事故がないことだけを願ってやってきた」とあいさつしたが、何だか情けなくなった。実行委員長に誘われて祭りに参加してきたのに、彼女にとって祭りとはそんなものだったのか。なぜ、「皆さん、祭りを楽しんでいただけましたか。市民が企画し運営するこの祭りを、もっともっと楽しめる祭りにするために実行委員会は全力を尽くします」と言えなかったのだろう。
みんなはどう思っているのか分からないが、私はもう手を引きたい。制約が増える一方の祭りに何も魅力を感じない。みんなの努力が報われないばかりか「勝手なことをしている」と非難されている。今度の打ち上げ会で、私は撤退を表明するつもりだ。