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2023.05.23 鱧の皮の思い出。

私は、「鱧の皮」が、好物だった。
今の鱧の皮ではなく、昔の鱧の皮のこと。

昔は、どこの市場にも蒲鉾屋さんがあった。
私が住んでいた東灘区の「森市場」の蒲鉾屋さんは素晴らしかった。
色々なところから表彰されていて、それらの大きな額が、沢山掛かっていた。

その頃は、蒲鉾屋さんは、新鮮な鱧を大量に仕入れて、それを捌いて、身をすり身にして、
小さな木の板(いわゆる 蒲鉾板)に盛り付けて蒲鉾を作っていた。

そして、身を捌いた後の皮を、照り焼きにして売っていた。
私は、その鱧皮の照り焼きが大好物だった。
その頃、照り焼き好きの客ために、鱧の身を全部こそげずに、ある程度身が付いた状態
にしている感じであった。
出来立ての、まだ熱々の鱧の皮の照り焼きを、カゴいっぱいに盛って、店頭に出していた。
私は、お腹の身が好きなので、なるべくお腹の白い身がたっぷり付いた照り焼きを選んで、
トングで掴んで、お店の人に渡すと、お店の人は、それを木の薄皮のへぎの船に入れて、
それを秤の上に乗せて、値段を計算して、包んでくれた。(多分新聞紙だった。)
量り売りなので、当然、分厚くて重い鱧皮は、値段は高くなる。
買い物は自分の仕事と思っていた私は、高校生の頃から休みの日は市場に行っていた。

その鱧の皮の美味しさは、格別であった。
今では、蒲鉾作りは、手作業ではなく、機械で鱧の身をこそげ取るので、皮に身が
全く残っていないので、美味しさが全然違う。香りも違う。別物である。
あれは夢か幻かと思うほど違う。

当時の森市場の蒲鉾屋さんは、大変有名な店だったが、惜しまれながら閉店した。
その後、蒲鉾屋さんが営業している市場もあったので、行ってみたが、森市場の
蒲鉾屋さんほどの味の店はなかった。
今では、あの頃の様に鱧を仕入れて1からつくる店は無いそうで、蒲鉾屋は、工場から、
鱧のすり身を買って、作っているらしい。
明石の魚棚(うおんたな)でさえ、今では、そうなってしまった。
だから、蒲鉾屋さんに行っても、鱧皮はない。別に鱧皮として仕入れている。


昨日、百貨店で鱧の皮を見つけたので買った。
きゅうりと酢の物にしようと思った。

作ってみると、出来上がった酢の物がいやに塩辛い。しかも甘すぎる。
あ、しまった。そうか?鱧皮に、強い甘辛の味付けがしてあったのだ。想定外。
先に、味を見るべきだった。失敗失敗!
ま、明日、生わかめを買ってきて加えると、少し薄まるかしら?


今日の器。佐賀県の深川焼。5枚セット。
おめでたい水引草の模様。花言葉は「慶事」「感謝の気持ち」だとか。

これは、買ったものではなく、母の実家の法事か何かで、頂いたものだと思う。
釉薬の色が、なんとも美しく繊細。
これは、食器洗い機には入れられない釉薬だと思う。

佐賀県出身の父母は、地元名産の深川焼きの陶器を高く評価していた。

(夕食)
イカの茹でたもの(小松菜、酢味噌添え)、きゅうりと鱧の皮の酢の物、わかめの味噌汁、
赤米ご飯、梅酒

前日のイカの切り身が美味しかったので、今日もその残りを茹でて酢味噌で食べた。
これは失敗、昨日は、イカの身の方だったので、臭みがなく、超美味しかったが、
今日は、その残りのゲソと、あたまのところだったので、あたまが臭かった。
今度からは、身のところだけ酢味噌で食べて、ゲソなどは、野菜と中華風の炒め物に
しようと思った。
しかし、今日は、繊細で上品なお皿に、イカのゲソを盛るという、不釣り合いなことを
してしまった。反省の巻。

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