【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

☆    第1回 日本俳句協会新人賞 ☆

2025年03月14日 00時16分21秒 | 俳人協会熊本県支部

☆    第1回 日本俳句協会新人賞 ☆

   〜 発表 〜
 
 第1回 日本俳句協会新人賞         
   「拭ふ」     押見げばげば
第1回 日本俳句協会準新人賞
         「被膜の日」     森川雅美
 

選考委員:
大高    翔(「藍花」主宰)
五島高資 (日本俳句協会理事長・俳句大学副学長) 
仙田洋子(「天為」同人)
辻村麻乃(「篠」主宰)
永田満徳 (日本俳句協会会長・俳句大学学長)
松野苑子(「街」同人)
対  象:未発表句 30 句
(資格制限なし、但し、多重投稿禁止)

大高 翔
【新人賞】  「拭ふ」                      押見げばげば
【準新人賞】 「おろそかならず」        渡邊輝夫
 
五島高資 
【新人賞】  「拭ふ」                        押見げばげば
【準新人賞】 「おろそかならず」        渡邊輝夫
 
仙田洋子
【新人賞】  「被膜の日」                     森川雅美
【準新人賞】 「定形外」                  いたまき芯
 
辻村麻乃
【新人賞】  「病みたる円」                       十一
【準新人賞】 「拭ふ」                  押見げばげば
 
永田満徳
【新人賞 】  「被膜の日」                    森川雅美
【準新人賞 】 「マスクメロン」          井伊辰也
 
松野苑子
【新人賞】  「拭ふ」                      押見げばげば
【準新人賞】 「おろそかならず」      渡邊輝夫
 

 【第1回 日本俳句協会評論賞】
    選考中

 ☆    第1回 日本俳句協会大賞 ☆

第一回日本俳句協会大賞
『中くらゐの町』 岡田由季

第一回日本俳句協会準賞
『伴侶』     中岡毅雄

 

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『くまがわ春秋』3月号(その2) 〜 季語で一句 64 〜

2025年03月06日 22時38分04秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

『くまがわ春秋』3月号(その2)

 

〜 季語で一句 64 〜

 

◆2025年『くまがわ春秋』3月号(第108号)が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

 

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 ・info@hitoyoshi.co.jp 

 ☎ 0966-23-3759

 

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

 

 

吹雪(ふぶき)        「冬-天文」

 

西村楊子

  •  

身の内のこゑもろともに吹雪きけり 

【永田満徳評】

「吹雪」は激しい風を伴う降雪で、自然の猛威の一つ。「身の内のこゑもろとも」という措辞は激しく吹きすさぶ吹雪のなかで、声を上げても声がかき消される猛吹雪の様子そのものをうまく表現している。

【季語の説明】

「吹雪」とは降ってくる雪や積もった雪が吹きすさぶ強風によって激しく舞い上がり、空中を乱れ飛んでいる状態を指す。気象庁によると、吹雪は「やや強い風」程度以上の風が雪を伴って吹く状態であると定義する。吹雪になると視界が悪くなるのが一般的。吹雪の一種として、さらに強い風を伴う猛吹雪と、降雪を伴わない地吹雪がある。

 

 

初午(はつうま)         「初春―行事」

 

西村楊子

  •  

 餅撒きの波と歓声午祭

【永田満徳評】

「牛祭」は家内安全、商売繁盛や五穀豊穣などを祈るもの。境内にたくさんの参拝客が訪れる神社の様子。「餅撒き」の時の参拝客の動きを「波」に例え、参拝客の波のような歓声をうまく詠んでいる。

【季語の説明】

「初午」は立春を迎えて初めに訪れる午の日に家内安全や商売繁盛を祈願して、全国の稲荷神社でお祭りが行われる日。稲荷神社に穀物の神が初午に降臨したことから、稲荷詣をするならわしとなった。お供え物に、稲荷神の使いの狐が好むという信仰からきた油揚げや、油揚げで酢飯を包んだ稲荷寿司などがある。

 

 

春日(はるひ)             「春-天文」

 

野島正則

  •  

春日へと一歩踏み出す母の杖

【永田満徳評】

「春日」は暖かい春の日差し。足腰の弱くなった「母」が春の日差しに誘われ、「杖」を突いて、「一歩」外に出ようとしているところ。「春日へ」という措辞は能動的になった母を温かい眼差しで表現している。

【季語の説明】

「春の日」はのどかでゆったりと暖かく、長く感じられる一日をいう。うららかな明るい春の太陽、またはその日差しとは区別して用いる。「春の日」と言えばいつの間にか眠気を催してくるようなのんびりした気分の日中を思い浮かべるのが自然であろう。鈴木花蓑の「大いなる春日の翼垂れてあり」の句は春の日の気分を謳歌している。

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『くまがわ春秋』3月号(その1) 〜 季語で一句 63 〜

2025年03月05日 22時30分46秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」

俳句大学投句欄よりお知らせ!

 

『くまがわ春秋』3月号(その1)

 

〜 季語で一句 63 〜

 

◆2025年『くまがわ春秋』3月号(第108号)が発行されました。

◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。

 

◆お求めは下記までご連絡下さい。

 ・info@hitoyoshi.co.jp 

 ☎ 0966-23-3759

 

永田満徳:選評・野島正則:季語説明

 

初富士(はつふじ)          「新年―地理」

 

三高邦子

  •  

初富士や婚約帰省の新幹線

【永田満徳評】

景色の良さで知られる山の名を付けて詠まれ、「初富士」もその一つである。おめでたい「婚約」した者同士が「新幹線」から眺める「初富士」を詠んだ句である。まことにめでたい風景と言わざるを得ない。

【季語の説明】

初富士(はつふじ)          「新年―地理」

                                                                                      

【季語の説明】

「初富士」は正月に初めて仰ぎ見る富士山のこと。昔は江戸から望む富士を初富士といった。「一富士二鷹三茄子」の通り、初夢で最も縁起がよいのが富士山。富士山の初日の出は元旦の7:30~8:00頃に見られ、ダイヤモンド富士は元旦の8:01頃。初比叡は元日に望む比叡山で、東の「初富士」と呼応する季語。

 

 

鶴(つる)            「冬―動物」

 

大工原一彦

  •  

丹頂やすベての所作の儀式めく

【永田満徳評】

「鶴」は秋にシベリア方面から渡来し、沼や田圃で越冬、春には再び去る。「丹頂」は古来よりめでたい鳥として尊ばれてきた。「儀式めく」という措辞によって、丹頂の優美なたたずまいを的確に描いている。

【季語の説明】

「鶴」はツル科の鳥の総称。鍋鶴・真鶴は秋、シベリアから飛来し、田や沼で冬を越す。鶴は容姿の美しさもあり、古来より瑞鳥とされてきた。凍ったようにじっと動かず片足で立っている鶴を凍鶴という。北海道東部で年間を通して棲息する丹頂はめでたい鳥として尊ばれ、ほかの鶴と同様に冬の季語として扱われる。

 

 

落葉(おちば)          「冬―植物」

 

大工原一彦

  •  

平等にある重力や落葉掻く

【永田満徳評】

「落葉掻く」とは落葉を掃き集めること。すべての葉を落とすので、落葉掃除が大変。落葉を掻きながら、葉が落ちることを万有引力という物理現象と捉えた句である。落葉という自然の原理の厳しさをよく捉えている。【季語の説明】

「落葉」は落葉樹が晩秋から冬にかけて落とした葉を指す。木の葉の散る様子も地面や水面に散り敷いた様子も表わす。落葉樹が葉を落とすのは日が短く、気温が低くなると光合成の生産量が少なくなり、葉を保つためのエネルギー量が足りなくなるためである。茶色の枝だけになった冬木の姿は寒々しさを感じさせる。

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第一回 日本俳句協会大賞発表

2025年03月01日 21時23分26秒 | 日本俳句協会

第一回 日本俳句協会大賞発表

 

第1回日本俳句協会大賞    『中くらゐの町』 岡田由季

第1回日本俳句協会準大賞   『伴侶』     中岡毅雄

 

【対象】

令和5(2023)年内に刊行された優れた句集の顕彰

【選考委員】

岡田 耕治(「香天」代表・大阪教育大学特任教授)

木暮陶句郎(「ひろそ火」主宰)

五島 高資(日本俳句協会理事長・俳句大学副学長)

斎藤 信義(「俳句寺子屋」主宰)

仲  寒蟬(「牧」代表)

永田 満徳(日本俳句協会会長・俳句大学学長)

【選考】

各選考委員の推薦句集

【岡田耕治】

岡田 由季『中くらゐの町』(ふらんす堂)令和5年6月

柳堀 悦子『鼓動』(邑書林)令和5年7月

五十嵐秀彦『暗渠の雪』(書肆アルス)令和5年6月

 

【木暮陶句郎】

山西 雅子『雨滴』(角川書店)令和5年1月

しなだしん『魚の栖む森』(角川書店)令和5年10月

中岡 毅雄『伴侶』(朔出版)令和5年8月7日

 

【五島高資】

岡田 由季『中くらゐの町』(ふらんす堂)令和5年6月

堀込  学『かまくらゆり』(霧工房)令和5月9月

土井 探花『地球酔』(現代俳句協会)令和5月11月

 

【斎藤信義】

中岡 毅雄『伴侶』(朔出版)令和5年8月

久保田哲子『翠陰』(朔出版)令和5年6月

鈴木しげお『普段』(ふらんす堂)令和5年

 

【仲寒蟬】

岡田 由季『中くらゐの町』(ふらんす堂)令和5年

川口 真理『海を覚ます』(青磁社)令和5月9月

 

【永田満徳】

仁平  勝『デルボーの人』(フランス堂)令和5年3月

岡田 一夫『こほろぎ』(現代俳句協会)令和5年9月

歌代 美遥『ひらひらと』(文學の森)令和5年10月

 

※『全山落葉』仲寒蟬(ふらんす堂・令和5年8月)は複数の選考委員が推挙するも、仲寒蟬氏が選考委員のために選考の対象外とした。

 

第1回 日本俳句協会新人賞】 選考中

第1回 日本俳句協会評論賞】 選考中

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【菫程な】の「 な ]考

2025年02月23日 13時25分50秒 | 夏目漱石

【菫程な】の「 な ]考!

[ 菫程な小さき人に生まれたし ]

〜 二つの漱石の菫の句を元にして 〜

 

現行句の確認

①初出[子規に送りたる句稿 二十三 四〇句〕 明治30年(漱石全集 第十七 岩波書店)

[ 菫程な小さき人に生まれたし ]

②短冊(大正3年か、4年)(『図説漱石大観』1981年角川)

[ 菫ほどの小さき人に生まれたし ]

➂自筆句(句碑・作成時期不明):子規記念博物館蔵

[ すみれ程の小さき人に生まれたし ]

自筆句は②「菫」は漢字、➂「すみれ」は平仮名であるが、②➂の「 の 」はいずれもそのままである。

 

参考:

①〔子規へ送りたる句稿 二十四 五十一句〕 内牧温泉(十五句) 明治32年(漱石全集 第十七 岩波書店)

[ 秋の川真白な石を拾ひけり ]

②「菫程な小さき人」という表現は、明治41年の作品『文鳥』に再び「菫ほどな小さい人」として現れる。

「文鳥はつと嘴を餌壺の真中に落した。そうして二三度左右に振った。奇麗に平して入れてあった粟がはらはらと籠の底に零れた。文鳥は嘴を上げた。咽喉の所で微な音がする。また嘴を粟の真中に落す。また微な音がする。その音が面白い。静かに聴いていると、丸くて細やかで、しかも非常に速やかである。菫ほどな小さい人が、黄金の槌で瑪瑙の碁石でもつづけ様に敲いているような気がする。」

②広辞苑』第二版 1638P

・「 な 〔助詞〕」の項

格助詞(ノの転用)

体言と体言とを接続して連体修飾をあらわす。

 

[結論]

漱石自身は格助詞「 の ]のつもりで作っている。

〔菫程な〕の「 な ]は格助詞( の )の転用としか考えられない。

意味:菫ほどの小さい人に生まれたい

 

これまでに【菫程な】の「 な ]についての言説

名句鑑賞17 夏目漱石 | 林誠司 俳句オデッセイBlog

「菫程な」の「な」は軽い詠嘆をあらわす助詞。

「生まれたい」というより「生まれたいものだなあ……」というニュアンス。

 

名歌鑑賞Blog

注・・な=意志希望を表す。・・したい、・・のような。

 

『日本国語大辞典』(小学館)未調査

「なり」の連体形「なる」の語尾が脱落したもので、中世から近世にかけて、終止法にも連体法にも用いられた。現代語では、「だ」の活用の中で位置づけられ、終止法には用いない。

 

【注意】口語の断定の「 な 」と混同しないこと。

たとえば「きれいな人」という口語の形容動詞の「 な 」については、

①「きれいだ」は形容動詞で、口語(文語ではない)である。

②口語の形容動詞の連体形は「 な 」となる。

未然形:きれいだろう
連用形:きれいだった、きれいでない、きれいになる
終止形:きれいだ
連体形:きれいなとき
仮定形:きれいならば
命令形:- なし -

 

※ 画像:漱石の自筆句の句碑(京陵中学校の南側の道)

 

句碑:[ すみれ程の小さき人に生まれたし ]

 

熊本に赴任した漱石が現在の池田(上熊本)駅で降りて、この前の道を通って黒髪の知人宅へ向かったことから句碑が立っている。

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