【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会会長代行 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

「火神」主宰 「俳句大学」学長 「Haïku Column」代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

俳誌「ひいらぎ」1月号 〜 現代俳句の鑑賞(150)  〜

2024年12月30日 22時48分20秒 | 華文俳句

俳誌「ひいらぎ」1月号!

〜 現代俳句の鑑賞(150)  〜

【岸本孝雄氏 句評】

水輪より出でぬ一生みずすまし

永田 満徳

(「俳句」2024•11月号「蛇笏の忌」より)

 ぴょんぴょんと水面を自在に跳んでいるみずすまし、しかしよく観察してみると、自分が跳んで作った水輪を飛び出すことは決して出来ないことに気付く。客観写生とは主観を交えずに対象を客観的な立場でよく見ること、これが写生の極意。虚子は「一つの対象から目をそらすことなく、あくびが出るまで見よ」といった。小路紫峽師はその前で三十分は佇むことといわれた。時間をかけて対象を眺めていると、今まで見えなかったものが見えてくる、それが「発見」。それを十七文字に読めばいい。簡単に見えるものを詠んでも誰も感心しない。人に見えないものを発見し、それを表現することによって人は感動してくれる。 ※「ひいらぎ」、ご恵贈頂きありがとうございます。 ※高浜虚子の「一つの対象から目をそらすことなく、あくびが出るまで見よ」という言葉を肝に銘じます。

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〜 季語で一句 61 〜 ◆2024年『くまがわ春秋』12月号◆

2024年12月05日 22時52分38秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」
俳句大学投句欄よりお知らせ!
 
〜 季語で一句 61 〜
 
◆2024年『くまがわ春秋』12月号(第105号)が発行されました。
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。
◆お求めは下記までご連絡下さい。
・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759
 
永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R6.12月号)
 
村芝居(むいらしばい)  「秋―生活」
 
野島正則
木戸銭は畑の野菜村歌舞伎
【永田満徳評】
「村芝居」は演じるだけでなく、舞台作りから何から何まで地元の自分たちが中心になって作り上げる。「木戸銭」(入場料)が「畑の野菜」であるという。いかにも秋の収穫後の「村芝居」らしいところがいい。
【季語の説明】
「村芝居」は地芝居、田舎芝居とも呼ばれ、農繁期を終え、労をねぎらうために村人たちが演じる芝居。秋になると、町内の各神社ごとに例祭が行われ、その前夜祭、本祭で演じられる。歌舞伎役者が避暑をかねて盛んに地方巡業した遺風で、地方に芝居熱が高まり、祭礼や盆や秋の収穫後などに素人が演じた。
 
 
嚔(くさめ)・咳(せき)   「秋―生活」
 
外波山チハル
大嚏して取り戻す視界かな
【永田満徳評】
「大嚏」は一回、数回痙攣状の吸息を行なった後、急に強い呼息を発すること。「大嚏」であればあるほど、目をつぶってしまう。嚏が収まってしまうと、目を開けてしまう。一瞬の出来事をうまく捉えている。
【季語の説明】
「嚔・咳」は冬の冷たい空気などで鼻孔が刺激をうけたときの呼吸器系の反応をいう。免疫力が低下しやすい冬は乾燥や風邪の炎症などによって喉が刺激されて咳が出ることが多い。咳には湿った咳や乾いた咳などの種類があり、咳き込む姿はいかにも辛そうに見える。「咳く(せく・しわぶく)」と詠まれたりもする。
 
 
鴨(かも)        「秋-動物」
 
佐竹康志
口軽き男と鴨を見ておりぬ
【永田満徳評】
「鴨」は早朝や夜間に草の実や水草を採りに行き、昼間は水に浮いて日向ぼこをしている。ぷかぷかと浮かんでいる「鴨」とそれを見ている「口軽き男」とが軽やかな浮遊感という点で似通っていて、俳諧味がある。
【季語の説明】
「鴨」は秋にシベリアなどの寒地から日本に渡ってきてそのまま越冬し、春また北方へ帰る。湖沼に住んで穀物を好む種類と、海を主たる居住区として魚を主食とする類に分けられる。古くから日本人に親しまれて来た。種によって、河川・湖沼や海上・江湾・荒磯などで見られる。鴨と雁はガンカモ科で、形や習性が似ている。
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永田満徳「中村青史賞」「文学の森大賞」受賞祝賀会!

2024年12月05日 12時30分00秒 | 文學の森大賞・中村青史賞

永田満徳「中村青史賞」「文學の森大賞」受賞祝賀会

日時 2024年11月30日(土) 18:00~20:30

場所 スターライト 熊本県熊本市中央区安政町1-6桑本ビル6F 

 

永田満徳「中村青史賞」「文学の森大賞」受賞祝賀会!

 

〜 【お礼の言葉】 〜

 

この度、遠方からも、多数の方々においでいただきありがとうございます。

身に余るご祝辞をいただきありがとうございます。

 

さて、熊本県内での文化振興に貢献したとされる「中村青史賞」、郷土色の強い句集に与えられた「文學の森大賞」はともに、郷土を愛する私の気持ちを評価して頂いたということで、とても感謝しています。

 

まず、思うことは、今は亡き姉のことです。

私の文学活動に最も声援を送っていました。

「みっちゃん、文学的才能があるから頑張れよ」

出掛けに姉の遺影に手を合わせてきました。

また、多くの顕彰会に誘っていただいた中村青史先生もいつも気にかけていただき、「最近、永田くんは俳句で頑張っているぞ」と言っていただいたそうで、ありがたいと思っています。

 

熊本という土地柄に多くの文学者が心寄せています。

・ノーベル文学賞候補だった三島由紀夫は「熊本は第二のふるさと」と公言しています。

・国民的小説家である夏目漱石の『草枕』は「熊本時代のいい思い出」を封じ込めた小説だと思っています。

・国民的詩人である三好達治の代表作「大阿蘇」と「草千里」について、伊藤信吉氏は深い愛着をもって「三好達治の阿蘇詩二篇は阿蘇という土地に亡き詩人の声として永く遺る」と述べています。

・国民的戯曲家の木下順二は熊本中学、熊本五高を卒業し、熊本の明治の群像を描いた『風浪』の「あとがき」のなかで、「熊本という土地は、やはりぼくの中に深くしみこんでいた」と述べています。

特に、木下順二の「熊本という土地は、やはりぼくの中に深くしんでいる」と述べた言葉は私の文学活動を代弁しています。

折しも、熊本県玉名市天水町小天出身の金森通倫のひ孫である石破茂首相は地方創生の有識者会議を立ちあげて、本腰を入れようとしています。

政治の動きも、私の郷土を梃にした文学活動の大きな力になります。

 

「地方からの発信」というと、明治時代に熊本県球磨郡湯前町で活躍した井上微笑を思い出します。

微笑は夏目漱石を引き入れ、全国的に名を馳せた俳誌「白扇会報」の編集長です。

郷土研究家の高田素次氏が、「微笑自身の熱意と辛抱強さ」に目を見張っています。

「微笑の熱意と辛抱強さ」という言葉は、井上微笑が「私は俳句の信者である」と言っていることと無関係ではありません。

私の現在の文学活動の原動力は井上微笑の「私は俳句の信者である」という「熱意と辛抱強さ」です。

この言葉を心に刻み、インターネット時代の文学活動、現在、特に力を入れている国際俳句の指導添削などの取り組みを通して、【熊本】という「地方からの発信」に努めていきます。

 

本日は、文化協会や熊本ゆかりの文学者の顕彰会の会長、副会長あるいは代表者、熊本を代表とする文化人の方々が多数ご参加されています。

 

この祝賀会が皆様にとって、熊本の文化活動の交流の一助となれば幸いです。

多くの皆様の支えがあったかこそ、受賞です。

 

今後とも、ご支援を賜りますようによろしくお願いいたします。

 

11月30日  永田満徳

 

画像:祝辞一覧

多くの方々にご祝辞をいただきありがとうございます。

本来であれば、ご挨拶をいただくところですが、お一人お一人のご紹介は時間の関係でお手元に配布しました祝辞一覧に代えさせて頂きます。

お読みいただければ幸いです。

 




 

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受賞者永田満徳「中村青史賞」「文學の森大賞」受賞祝賀会チラシ

2024年11月29日 09時35分48秒 | 文学顕彰

【チラシ表】

受賞者 永田満徳「中村青史賞」「文學の森大賞」受賞祝賀会

日時 2024年11月30日(土) 18:00~20:30

場所 スターライト 熊本県熊本市中央区安政町1-6桑本ビル6F TEL: 096-325-9337

【チラシ裏】

受賞のことば

第4回「中村青史賞」を受賞して

このたび、第4回「中村青史賞」を頂き、身の引き締まる思いです。中村青史賞を選考頂いた「一般社団法人くまもと文化振興会」の理事の皆様に心より感謝申し上げます。

中村青史先生との出会いはかれこれ五十年ほど前、私が大学を出たばかりのころで「熊本近代文学研究会」を紹介して頂きました。私はそこで、夏目漱石や小泉八雲、木下順二などの研究を発表する機会を得るとともに、『熊本の文学』(審美社)では三好達治や蓮田善明、三島由紀夫を担当しました。熊本カルチャーセンターでの「熊本の文学講座」やその他の講話の基になり、貴重な財産となっています。また、「熊本近代文学研究会」代表・首藤基澄先生には俳句を勧められ、首藤先生が創立された俳誌「火神」主宰や俳人協会幹事、俳人協会熊本県支部長を任されています。中村青史先生の紹介がなければ、今日の私の熊本ゆかりの文学研究はもとより、俳句の創作活動はないと思っています。

中村青史先生は多くの文学顕彰の会を数多く立ち上げ、私もそのほんどに参加しました。さらに、中村先生は私を「熊本文化懇話会(文学)」の会員や「熊本アイルランド協会」の理事に推挙してくださいました。「徳永直の会」「熊本・蘆花の会」においては中村先生が会長を退かれる際に相談を受け、知り合いを紹介したり、仲介を務めたりしました。私をそれほど信任して頂いたことに胸が熱くなる思いでした。

愛弟子のように育てて頂いた中村先生の冠のある賞を受賞したことは、大きな喜びです。また、「火の国『くまもと』の文化を世界へ」を標榜している「くまもと文化振興会」によって表彰を受けたことは、熊本の地から国際俳句の改革を発信している私にとって、大きな励みになります。今後も、中村先生のご遺志を引き継ぎ、熊本の地より文化の発展に貢献していきたいと思います。

 

第15回「文學の森大賞」を受賞して

このたび、第二句集『肥後の城』で第十五回文學の森賞大賞を頂き、身の引き締まる思いです。選考の先生方、文學の森の方々には心よりお礼申し上げます。

平成二十八年四月に起こった熊本地震の句に焦点を当てて編集を進めていたところ、令和二年七月、郷里の人吉を大水害が襲ったため、二つの大災害を悼む句集になりました。さらに、元「未来図」の鍵和田秞子主宰の「熊本城や阿蘇、天草を詠みなさい」というご助言を心に刻み、首藤基澄先生の阿蘇への思いの集大成とも言うべき句集『阿蘇百韻』(本阿弥書店)に促されて、熊本城、阿蘇、天草を詠み込んだ句を残しました。テーマ性と郷土色を盛り込んだ内容の読物になるように心掛けたつもりです。  

また、熊本時代の夏目漱石が言ったとされる「俳句はレトリックの煎じ詰めたもの」に倣い、連想はもとより、オノマトペ・擬人法・同化などを駆使して、多様な表現を試みました。

この内容と表現において、本句集がどれほど成功しているかは覚束ないですが、この大賞を励みにチャレンジしていきたいと思っています。

(『肥後の城』より自選5句)

阿蘇越ゆる春満月を迎へけり

こんなにもおにぎり丸し春の地震

むごかぞと兄の一言梅雨出水

水俣やただあをあをと初夏の海

立秋やどの神となく手を合はす

 

 

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 〜Facebook「Haiku Column」〜  ☆【俳句界】2024年12月号☆

2024年11月26日 22時45分40秒 | 「俳句界」今月の秀句
俳句大学国際俳句学部よりお知らせ!
 
 〜Facebook「Haiku Column」〜
 ☆【俳句界】2024年12月号☆
 
◆俳句総合誌『俳句界』2024年12月号が発行されました。
◆俳句大学 〔Haiku Column〕のHAIKUから選句・選評した句を掲載しています。また、「俳句界」2019年1月号から毎月連載しています。
※ 2021年の『俳句界』10月号から、優秀な作品が揃って来ましたので、1ページ増えて、3ページに渡って掲載しました。
◆R 2・12月号から作者の国名を入れています。
◆どうぞご理解ご支援をお願いします。
 
The December issue of 「HAIKUKAI俳句界」!
〜Haiku Colum of Haiku University [Monthly best Haikus]〜
◆the November issue of HAIKUKAI俳句界 has just been published.
◆It contains the best haikus of the month selected by M. Nagata.
◆according to the plan, we will continue to publish 2 lines haikus with kire and toriawase.
« HAIKUKAI» Le numéro de décembre
〜Haikus du mois de Haiku Colum de Haiku Universite〜
◆ Le décembre de HAIKUKAI a été publié.
◆il contient les meilleurs haikus du mois selectionnes par M. Nagata.
◆Selon ce plan nous allons continuer a publier des haikus en deux lignes avec kire et toriawase.
 
(「俳句界」R6.12月号)
【今月の秀句(monthly excellent Haikus)】  
永田満徳選訳 訳:Anikó Papp・大津留直 監訳:五島高資
(Facebook「Haiku Column」より)
Olfa Kchouk Bouhadida(Tunisia)
début de l'automne ~
le sifflement se multiplie à la gare
オルファ クチュク ブハディダ(チュニジア)
初秋や駅に口笛鳴り響く
Marisa Schiavon(Italy)
sera d'autunno -
coccole occhi negli occhi col cane
マリサ シアボン(イタリア)
秋夕べ犬と目の合ひ抱き合へり
Daniela Misso(Italy)
sera d'autunno -
il cancello del giardino cigolante
autumn evening -
squeaky garden gate
ダニエラ ミッソ(イタリア)
秋の暮風に軋める庭の門
Nuky Kristijno(Indonesia)
autumn night
sound of raindrops on the roof
ナッキー クリスティジーノ(インドネシア)
秋の夜や屋根に雨粒落つる音
Barbara Anna Gaiardoni(Italy)
autumn night
a million stars all aglow
バーバラ アナ ガイアルドニ(イタリア)
秋の夜や百万の星輝きたる
Kim Olmtak Gomes (Holland)
late autumn -
grandparents visits now in zoom
キム オルムタック ゴメス(オランダ)
晩秋やズームに集ふ祖父母なる
Nani Mariani(Australia)
autumn wind
clothesline like a merry-go-round
ナニ マリアニ(オーストラリア)
メリーゴーランドめく物干し竿や秋の風
Anna Rimondi(Italy)
autumn wind-
the voices of the past among the leaves
アンナ リモンディ(イタリア)
木の葉より過去の声あり秋の風
Patrizia Cavallone(Italy)
brezza d'autunno -
sui binari del treno una speranza
autumn breeze -
on the train tracks a hope
パトリチア カバローヌ(イタリア)
秋の風鉄路に希望ありにけり
Evgeny (Eugene) Khvalkov(Россия)
moon on the rise -
a sliver of hope alights
エフゲニー(ユージン)・フヴァルコフ(ロシア)
昇る月一縷の望み灯りけり
el Hamied(Indonesia)
morning moon
meeting between dreams and reality
エル・ハミード(インドネシア)
朝の月夢とうつつの出会ひかな
Paul Callus(Malta)
falling moon -
another relationship in crisis
ポール カルス(マルタ)
月落ちて危機に瀕する関係よ
Hina Ya (France)
rude awakening
wisps of fog lingering on the mountains
ヒナ ヤ(フランス)
突然の目覚めありけり山の霧
Dyah Nkusuma(Indonesia)
damp autumn~
the sound of breathing of bronchitis survivors can be heard
ディア ヌクスマ(インドネシア)
秋湿り気管支炎の呼吸音
Maurizio Brancaleoni(Italy)
canto di lombrico:
la poesia creata con l'IA
earthworm's song —
AI-generated poetry
マウリツィオ・ブランカレオーニ(イタリア)
AIの成せる詩韻や蚓鳴く
Ana Irina(Romania)
red dragonfly -
same old fairy-tale
アナ イリナ(ルーマニア)
赤蜻蛉いつもと同じおとぎ話
Christina Chin(Malaysia)
the dragonfly on the twig static
クリスティーナ チン(マレーシア)
閑かなり小枝の上の蜻蛉かな
Angela Giordano (Italy)
roasted chestnuts
grandpa's memories are always the same
caldarroste
i ricordi del nonno sempre gli stessi
アンジェラ ジオルダーノ(イタリア)
焼栗や祖父の思ひ出いつも同じ
タンポポ  亜仁寿(Indonesia)
sweet potatoes -
arrive wrapped in a local newspaper
タンポポ  亜仁寿(インドネシア)
地方紙に包まれ届くさつまいも
Ariani Yuhana(Indonesia)
grass flowers
remind of a naughty childhood
アリアニ ユハナ(インドネシア)
草の花やんちやな子供時代かな
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