俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜季語で一句⑦〜
◆『くまがわ春秋』6月号が発行されました。
◆「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。
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【くまがわ春秋】6月号
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田植(たうえ《たうゑ》) 【夏―生活】
水稲の苗を水田に移植する作業。日本の稲作はほとんどが移植栽培のため田植は欠かせぬ作業である。田植は,まず水田を耕起したのち水を入れて代掻きを行い、田面を平らにしてから行う。地域によって差があるが、最近では五月初旬に行う地域が多い。田植の行事なども今に伝えられている。
【永田 満徳選】
顔に泥付けし園児の田植かな 野島正則
「田植」は日本人の原点となる農事である。掲句はその原点を経験させようとする体験学習の様子を詠んだもの。わざと「泥」をつけて、誇らしげに見せつけている子どもの仕草と取りたい。
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夏の蝶(なつのちょう《なつのてふ》) 「夏-動物」
春先には、紋白蝶や紋黄蝶が先ず見られ、やがて大型の揚羽蝶をみることができ、夏になる。この夏に見られる蝶を「夏の蝶」と呼びます。夏の蝶のうち、特に揚羽蝶は、黄色地に黒の複雑な模様を持ち、大きく美しい。揚羽蝶の大ぶりな美しさは、夏の季節にふさわしく感じられる。翅の黒い黒揚羽もまた、夏に多く見られる。
【永田満徳選】
〔特選〕
仰ぎ見る空の高さや揚羽蝶 工藤雅典
※「揚羽蝶」は大柄な蝶で、風に煽られて、高く飛ぶ様は豪奢でさえある。掲句はその瞬間を詠んだものだが、揚羽蝶が飛んだ後の「空」に注目して、その「高さ」の奥の青さを詠んだところがいい。
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新緑(しんりょく《しんりよく》) 「夏-植物」
【季語の説明】
初夏の頃の若葉のみずみずしい、鮮やかな緑をいう。緑豊かな若葉を宿した、その木立も含めて表す。日差しを乱反射してきらきらと光る新緑葉のそよぎは、さわやかな気候ともあいまって、目にしたものの気持ちを清々しくしてくれる。楓、銀杏、欅、楠、槐など、それぞれに異なる微妙な色合いが美しい。
【永田 満徳選】
新緑や古城の石に手を置きぬ 藤倉浩正
※「新緑」は気候のさわやかさと目に映る清々しさを表す季語である。掲句は「古城」と措辞といい、「石に手を置」く仕草といい、「新緑」をじっくり味わっている雰囲気がよく伝わってくる。

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