俳句大学投句欄よりお知らせ!
〜季語で一句 30 〜
◆『くまがわ春秋』5月号が発行されました。
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永田満徳:選評・野島正則:季語説明
【季語で一句】(R4.5月号)
新社員(しんしゃいん《しんしやゐん》) 「春-生活」
大工原一彦
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町工場社長と専務と新社員
【永田満徳評】
「町工場」といえば、小規模であるが、海外にも誇れる技術力がある。「社長と専務」は夫婦か、親子の関係か。二人だけの工場だけに、かなりの期待を賭けている。「新社員」に新たな視点があっていい。
【季語の説明】
新しく企業に入社した社員のこと。転職の人も、幅広い意味では、その会社にとっての新社員。しかし、学校を卒業したばかりで、新社員の希望と不安を感じるのがこの季語の本意である。今時の新人の具体的な育成方法を紹介するサイトが多く、迎える側の苦労が忍ばれる。
燕(つばめ) 「春-動物」
辻井市郎
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燕来るさて嫁探し家探し
【永田満徳評】
「燕来る」には、春たけなわで、いよいよ夏が近いことを想わせる。「嫁探し家探し」という措辞には、何かと気ぜわしく、あれこれと準備に取り掛かろうとする春の「燕来る」時分の雰囲気がよく出ている。
スズメ目ツバメ科ツバメ属に分類される鳥類。古くはツバクラメあるいはツバクロと呼ばれた。南の国からやって来る渡り鳥の代表。水稲栽培において穀物を食べず害虫を食べてくれる益鳥として古くから大切にされ、ツバメを殺したり、巣や雛に悪戯したりすることを慣習的に禁じ、農村部を中心に大切に扱われてきた。
蝶(ちょう《てふ》) 「春-動物」
西村揚子
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初蝶の来てをり刻の止まりけり
【永田満徳評】
「初蝶」は春の訪れを告げる使者。オスは決まった時間になわばりを張ってメスを待つ。「初蝶」の飛来と無刻(無音)の春昼との取合わせによって、暖かくなった春の一日の午後をうまく切り取っている。
【季語の説明】
ごく身近で観察できるチョウは平均で20種類程度。蝶の翅は彩りもあざやかで、花の蜜を求めてひらひらと舞う。世界中で幸運を運ぶ縁起物として有名である。一年を通じて羽化するので、夏の蝶、秋の蝶、冬の蝶など、季節を付けて、通年の季語がある。「蝶」と言えば「春」で、シロチョウ科のものが相応しい。