古伊万里江戸後期物の魅力

古伊万里江戸後期ものを中心としたブログです。
その日の気分で、俳句も作ってみようと思います。

象図の火入れ

2009年03月08日 13時05分50秒 | 古伊万里=ふくろもの

民芸運動と茶道

民芸運動は、大正時代に柳宗悦氏がおこしたように言われておりますが、
実際には、16世紀の千利休の推奨の侘茶ブームから二回目だと言われております。

いっぽう日本の陶磁器の鑑賞世界に、大きな影響力を持って、貢献して来たのが、茶道界だと思います。
ですから、日本の鑑賞古陶磁の世界では、茶道具としての古陶磁器が、美の規範のように思われてきました。

しかしながら、現代では、生活様式の多様化や、国際化で、茶道具としての美意識や、
古陶磁としての美意識も変わりつつあるような気がしますが、どんなものでしょうか?

その、証拠の一番は、じつに長いあいだ茶道界で、人気のあった、明代の古染付けの価格の下落です。
それは、単なる不人気や不景気だけが原因ではないような気がします。
もちろん他の陶磁器も値下がりしていますが、特に顕著ではないかと感じてしまいます。

茶道具の美意識からみると、国産の色絵磁器や、染付け磁器は、あまり評価の高いものではありませんが、
単純・わかり易い・残存数も多いというメリットもあり、もっと評価されてよいのではないかと思います。

単純・わかり易い美という点は、欠点ではなく長所だと思います。
単純でわかり易い美が、軽薄ということは、けしてないと思います。

単純なことが劣っているならば、私たちは、俳句や、太鼓の音に感動することは、ないでしょう。





象の図の火入れです。珍しいものですが、本物です。
火入れって、ペンたてくらいしか使い道がないんですよね。





江戸時代後期・天保くらいの作品と思われます。


        直径10cm高さ10,5cm