goo

「宮沢賢治」でございます!(その4)

2016年07月21日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
「気のいい火山弾」
【107ページ】
蚊が一疋くうんくうんとうなってやって来ました。
「どうも、この野原には、むだなものがたくさんあっていかんな。たとえば、このベコ石のようなものだ。ベコ石のごときは、なんのやくにもたたない。むぐらのようにつちをほって、空気をしんせんにするということもしない。草っぱのように露をきらめかして、われわれの目の病をなおすということもない。くううん。くううん。」と云いながら、また向こうへ飛んで行きました。
ベコ石の上の苔は、前からいろいろ悪口を聞いていましたが、ことに、今の蚊の悪口を聞いて、いよいよベコ石を、馬鹿にしはじめました。

[ken] みんなから悪口を言われ、馬鹿にされても気のいいベコ石は動ぜずに聞き流しています。結局、博物館に収蔵されるような貴重な石であったのですが、それさえ無頓着にいばらず周囲のものたちに別れを告げることになります。いったん悪口や馬鹿にされると、ベコ石が苔にまでコケにされてしまうほど、人の世の中にも多々見られますね。「役に立つ」とか、「貢献」とかをしっかり周囲から認知され、自分でもそれを自覚できることが、日々を生きていくなかでは何よりも大事であると誰もが思っています。私は、若い頃から「なんのやくにもたたない」とされることに興味を持ち、現世的な価値観から距離をおくように心がけてきました。今思えば、それを負け惜しみと言われようが、自分なりに成功したようだと考えています。そしてこれからも、私の好きなように行動していくことを肝に銘じて、日々を過ごしていきたいものです。(つづく)
goo | コメント ( 0 ) | トラックバック ( 0 )
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。