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「宮沢賢治」でございます!(その5)

2016年07月22日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
「茨海小学校」
【116~117ページ】
急いで立ち上がって見ますと、私の足はその草のくしゃくしゃもつれた穂にからまっているのです。私は苦笑いをしながら起きあがってまた走りました。またばったりと倒れました。おかしいと思ってよく見ましたら、そのすずめのかたびらの穂は、ただくしゃくしゃにもつれているのじゃなくて、ちゃんと両方から門のように結んであるのです。一種のわなです。その辺を見ますと実にそいつがたくさんつくってあるのです。

【130~131ページ】
黒板には「最高の偽(うそ)は正直なり。」と書いてあり、先生は説明を続けました。
「----一生けん命考えていきますと、とうとうしまいはほんとうのことになってしまうのです。そんならそのほんとうのことを云ったら、実際どうなるかと云うと、実はかえってうまく偽をついたよりは、いいことになる、たとえすぐにはいけないようになったようでも、結局は、結局は、いいことになる。だからこの格言はまた
『正直は最良の方便なり』とも云われます。」

[ken] すずめのかたびらを輪にしてワナを作り、追いかけっこをして転倒させる遊びは、私たちも子どもの頃の楽しみでした。自分がかかると頭にきますが、それはお互い様ですから「やられたなぁ」と苦笑するだけです。また、「最高の偽(うそ)は正直なり」と『正直は最良の方便なり』という格言は意味深いですね。テレビドラマの最後に「これ物語はフィクションです」とよく表示されますが、良質なフィクションは真実よりも感動をよぶものです。そういえば落語家の桂米朝さんも、著書で「落語はバカな話だからこそ丁寧に、油断なく話さなければいけない」と述べていました。うまくうそをつくことと、一生けん命考えたうそとでは異なり、結果的に後者がいいことにつながるということですね。そして、正しいとか真実とかの前に「正直」であることが大事だと言っています。すぐにはそうならなくても、結局はいいことになると確信できる、残り少ない人生ですが私もそんな人間になりたいです。(つづく)
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