ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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たんぽるぽる~雪舟えま歌集

2017-11-14 05:05:05 | 本の少し
たんぽるぽる (かばんBOOKS)
クリエーター情報なし
短歌研究社

☆☆☆☆

この前の、「桜前線開架宣言」で見つけた、“雪舟えま”さんの歌集。
“雪舟”は“せっしゅう”ではなく“ゆきふね”と読むらしい。

21歳でレビュー、若草色のシュールレアリズムで「大型新人の登場」と
当時、注目されたらしい。

「たんぽるる」は二冊めとして、1996年~2010年までの作品から322首を収めています。
(ちなみに、えま、さんは1974年のお生まれ)

なかなか、一ひねりもふたひねりもある歌ばかり、


でも、気にいったのを選んでおきます。

箱買いの蜜柑二人で床にあけ 見たことないよこんな冬、 って

郵便は届かないのがふつうだと思うよ誰も悪くないのよ

愛が趣味になったら愛は死ぬね・・・テーブル拭いてテーブルで寝る

すきになる? 何を こういうことすべて 自信をもってまちがえる道

この家にくるひとは眼鏡がすごく曇るっていうそんなのしらない

たこ焼き屋の手さばきガラスにくっついて見ている 恋がかなわないの

すきですで変形しそう帰り道いつもよりていねいに歩きぬ

全身を濡れてきたひとハンカチで拭いた時間はわたしのものだ

性格が消えて心だけになって連れてくあなたの良いひとだから

製氷皿にとうとうと水わが心しらない人についてっちゃだめ

体臭が年々つよくなっていくわたしをはやく見つけてほしい

枕辺の本しおりが二枚あり君はすすんでるほうのしおり

明け方にパンと小さくつぶやけばパンが食べたいのかときかれる

寝顔みているとふしぎに音がない。 来たくて来た場所はいつも静か

君がもう眼鏡がいらなくなるようにいつか何かにおれはなります

ホットケーキ持たせて夫送りだすホットケーキは涙が拭ける

雪よ わたしがすることは運命がわたしにするかもしれぬこと

頭から足のさきまで雨に濡れしずかに聞こえだす曲がある

ずぶ濡れを悪いことと思わない街が濡れればおれも濡れるよ

いま少し正気になって父がいう団子は横に引いて食べろと

風呂あがりあなたがパジャマ着るまでの時間がのびる春なのですね

目を閉じてこの身にあたるぶんだけを雨とおもえば怖くはないわ

あられもなく油をすって茄子はいまはっきりと満たす側に回った


なんだか、不思議な、感覚、不思議な、歌、です。





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