ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

飛び散れ、水たち~近江瞬

2023-08-23 07:07:07 | 本の少し

 

☆☆☆

枚方の関西医大に行ったあと駅前の蔦屋書店に。短歌のコーナーでふと手にしたのがこの本。数行のアオハルっぽい恋歌が目に飛び込んできて購入。歌集なんて、いつも偶然の出会いみたいにしてお買い上げ。歌人の名も知らなければ、何かの推薦でもなし。一つの歌だけで、惚れてしまうのですね。

目に留まったのは、

ふと君が僕の名前を呼ぶときに吸う息も風のひとつと思う

それはもうほとんどたましい たったふたつの雪見だいふく君と分ければ

電線に届かず切られる街路樹の生命の高さに制限はあり

傘立ての底に溜まった雨粒が粒から過去に変わる夜更けに

過去なんてあるようでないすべり台塗り替えられた団地の中で

「訳あり」と呼ばれてもいい傷付かず生きるのは難しいよな、煎餅

筆談で祖父は「へへへ」と笑い声を書き足している険しき顔で

ビニールの中の金魚におそらくは最初で最後のまちを見せてる

夜の道に浮かぶ遠景 ふるさとは例えば寝そべるイオンの灯り

 


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