寺島町奇譚 (ちくま文庫)滝田 ゆう筑摩書房このアイテムの詳細を見る |
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滝田ゆうの落語劇場に感激、代表作の「寺島町奇譚」を買って読む。
戦前、戦中の東京の下町、色街の風景を優しく、ほのぼのと描く。
人の哀しみ、笑い、憂いなど、人々の心のいとなみが、日常の生活の中に映しだされる。
貧乏長屋や、吉原は、落語の世界であるが、70年前の昭和の時代には、
この寺島町のような世界が、身近にあったのだ。
戦後の梅田で育った私でも、見たことが有るような懐かしさを感じる。
登場人物が、貧乏しながらも、活き活きと毎日、精一杯生きている。
例のごとく、吹き出しは、意味不明のもあるが、一息ついて、考えるのもまた楽しい。
また、頁いっぱいに描かれている、街の風景は、どれもが木版画のようであり、
電柱の陰、家の中の様子まで、興味深く眺めることができる。
子供は、家のお手伝いをし、学校から帰っても、近所の子と泥んこになって一緒に遊ぶ。
街の探検家として、どんどん興味と知識を拡げていく。
商売の街で働く人と、そこに住んでいる人が混在していた梅田で、
そんな時代に育った私には、貧しくも、ごまめが活き活きと活躍したことを
遠く離れた東京下町ではあるが、思いださせてくれる懐かしさの溢れる絵本である。、
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