ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

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現役の噺家が語る志ん朝落語

2011-07-14 04:47:05 | 本の少し
落語を聴くなら 古今亭志ん朝を聴こう (落語ファン倶楽部新書1)
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白夜書房

☆☆

14名の現役の噺家さんが語る、志ん朝落語の魅力。
志ん朝さんの噺家としての素晴らしいのは当然ながら、
各噺家が語る一言一言に各人の落語への見識がみえる。

上方からは三人、桂米団冶、笑福亭鶴瓶、笑福亭仁鶴が語っている。

鶴瓶さんは、ご自分が落語会にでる時、落語をやるためのコンディションを整える為に、志ん朝落語を聴くと。
そうすると、いいリズムになるというか、フラットにしてくれて、キーを合わせてくれる。

言葉は違うが、いいのは、志ん朝師匠は、「うまく見せてやろう」とか、「何々をやってやろう」とかの
わざとらしさが全然ない。クスグリを変えても、どうみても元からあったように見せる。
その自然さが凄いと絶賛する。

仁鶴さんは、15年間、二人会を一緒にやらしてもろうて、サービス精神の旺盛な方と云う。
大阪で演る場合はアクションは大きかったし、声もボリュームを少ぉしあげてやらはったと。
ご自分の落語観に基づいた演じ方で押し通すというのではなく、臨機応変に、地元のお客さんの
気持ちに添うように演っておられた・・・と。
「くさくなければ(派手目に演じること)大衆芸能ではない。」
「くさみを抜いたら何もないよ」と、お客様はそういうところを楽しむもんだと、心得てはったと。

また、出来るだけ、今の人に、ある程度の古い言葉を噺の中に残そうと努力してはったと。
江戸の雰囲気を落語の中に保ちながら、お客さんに現在とは違う世界を楽しんで貰うと
ですから、解りやすくても古典落語を時代に合わせ過ぎる事には、とても神経質だったと。

合わせ過ぎると古典落語が崩れると、常に攻めの気持ちで落語をやっておられたように思うんです。
だからこそ、ああいう速いテンポになったんではと思われる、何かに折にご本人が
「恐怖感があるから、テンポが速くなるんだ」と、そういう思いを噺家が抱くことはなきにしもあらずと
仁鶴師もしみじみ、語っておられる。

そして、最近の東京の若い噺家さんたちのほうが志ん朝はんのアクションを真似ているのをみて
だんだん派手になってきている、真似をするとどうしてもご本人より味が濃くなりますからと。
ご本人はこれ以上やるとあざとくなる手前でやめているのに、真似る方はついそれ以上やってしまう。
怪我の元と、立場は違っても、落語を愛する仁鶴さんらしい芸談がきこえてくる。

他の方、正蔵、たい平、小朝、昇太、小遊三、朝太、木久蔵、志ん五、花禄、志の輔、圓楽も
それぞれ味のある芸談を語り、一流は一流を知ると、大いに愉しめる。


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