小説日本婦道記 (新潮文庫) | |
クリエーター情報なし | |
新潮社 |
☆☆☆☆☆
この本も読書ログにおいて“課長代理”さんにお奨め頂いた本。
初めて時代小説を読んで感動した“蝉しぐれ”を超える感動、優れもの。
厳しい武士の家の掟の中で、夫のため、子供のために、
凛として、妻として、母として生きる女、
それは男以上に秘めた信念にもとづいたいきざまである。
すべてすばらしい11の連作短編集であるが、その中でもお気に入りは、
「不断草」、お家騒動に巻き込まれて妻に迷惑が掛かってはと、
夫と母が難癖をつけて離縁を・・・・。
そのあと、夫は目の見えぬ母を館山の知り合いの農家に預け、
自らは政治の改革を企てた者と罪人と、お国払いに。
実家に戻っていた菊枝(主人公)は、
「わたくしは一旦この家を出たもの、尼になるか、世にたよりないご老母をみとるか、
いずれにしても、義絶していただきます」と決意をもって再び家を出る。
そして、母が住むその庄屋のあるじにすっかり事情をはなし、
目の不自由な老母のみとりをさせて貰いたいと頼む。
「でも、不縁になったわたくしということがわかりましたら、
姑上さまはきっとご承知なさらないと存じます。
菊枝ということを内緒にしてどうぞよろしくおたのみ申します」と、
「あなたはこの老人をお泣かせなさる」
まだまだ話は続きますが、この物語、この一言につきますな。
たった24ページの物語ですが、ちょいとした脚本家のてにかかれば
NHKの大河ドラマにでもなって、一年間楽しめる、中身の濃い内容。
この他に、あと10編もあるなんて、山本周五郎さん、凄い。
この「日本婦道記」は、涙のコストパフォーマンス最高の本でおまっせ。
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