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今年出会った作家で一番の感動を与えてくれたのが、星野道夫さん。
前回の「旅をする木」、「長い旅の途上」に続いての三冊目。
実はこの本。日本で行った10回の講演をまとめたもの。
初めての出会いでもあり、今回アラスカから帰ってきたばかりで、
自己紹介から、アラスカに魅せられて訪れ、結果20年も住みついてしまったこと、アラスカの寒さ、自然の良さ、カリブ、クマ、クジラの野生の生き物、
そして厳しくもそのめぐる季節と暮らす人々。
毎回、同じ構成、大枠は同じ話ながら、聞きほれる、読み惚れてしまうのはなぜ。
これって、古典落語と同じではないか、筋も内容も解かっていながら、
聞いてて楽しい・・・はなしの充実感、語り手の真実、心の底にしっかり
刷り込まれるからと、アラスカの自然に息づく壮大さによるのか。
読んでいて、行ってもしないアラスカの原野の静けさに何度も本を置く。
人生の豊かさ、人間の幸せとは何か、日常の煩雑な事柄がなぜか陳腐に
感じられる。
自然に身を置く、自然に触れる、とは
自らの心の静けさを取り戻すことではないか。
惜しいのは、星野さんの生の語りを聞けなかったこと。
アラスカまでは行けないけれど、近隣の山深い神社仏閣を訪ね、
私なりのもう一つの別の時間を流れを感じてみようと・・・・。
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