ごまめ~の~いちょかみ・Ⅱ

趣味(落語と本)の話と大好きなうどんを中心に、ごまめになってもいちょかみで幅広くお届け

夜中の薔薇~向田邦子

2015-06-07 07:07:07 | 本の少し
夜中の薔薇 (講談社文庫)
クリエーター情報なし
講談社

☆☆☆

ようやく読み終えた本。

今迄、向田邦子さんの本は沢山読んだと思っていたが、
写真集や妹さんの本で読んだ気になっただけで、
ご本人さんのは、これで確か三冊目。

でも、読んでいるとなぜか懐かしいというか、
既に目にしたことがあるような、昔聞いた落語を今生で聴いてい
そんな気持ちにさせてくれた・・・・。

さすが、ドラマの脚本家だけに、言葉に敏感。
言葉の洒落っ気については、随所で披露してくれる。

例えば、
渋谷駅で切符を買った時のこと、
気がせいていたので「渋谷一枚」と叫んでしまった。
こういう場合「ここだよ」とどなり返されるのがオチだが、
その駅員さんは違っていた。
静かな声で、「無料(タダ)ですよ」といって、かすかに白い歯をみせた。
私は一瞬、この初老の駅員さんに惚れてしまった。


いいですな・・・・でも今や、自動販売機、乗り越しで清算をして
定期券でも忘れようなら、ピー、ピー、ピーとお咎めのごとく叫んでる。

ああ、味気ない世の中になりましたな・・・・。


向田邦子さんの世界が心地良いのは、
限りなく昭和の匂いがするからでおますな。


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