新釈落語咄 (中公文庫) | |
立川 談志 | |
中央公論新社 |
☆☆
この頃、立川流を聴く機会が増えてきたので、ずっと前に読んだ本を
本棚から引っぱり出して、再読する。
最近聴いた噺のお題と重なるのは、「化物使い」「寿限無」「片棒」
「だくだく(書割盗人)」「粗忽長屋」「孝行糖」辺りか。
全てで20席あるが、噺の題材を使いながら、談志は落語一席ずつ、
人間そのものをみている。
15年前だが、既に、今述べている「人間の業」を見定めている。
まあ、おもしろいところをご紹介すると、ラジオで円蔵とやった
「寝床」が、ナンセンスで言葉のイリュージョンである。
「おい番頭、新選組は何で来ないんだ」
「何でも大林組と合併しまして、いま揉めていまして・・・・。」
「猿飛佐助はどうした」
「忍術で消えたンですが、元に戻らなくなっちゃて来ても分からナイとか」
「山手線の運転手はどうした」
「ブレーキがきかなくなっていまグルグル回ってまして・・・。」
「幼稚園の生徒はどうした」
「皆ンな家に帰っちゃいました。」
バカバカしくて、おもしろい。
こんな、遊びができるのも、談志が常々云う、「古典」に感謝ですな。
1995年6月初刊であるが、この本から、伝わるものは、
談志は、誰よりも「落語を愛してる」の一言である。
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